米iSuppli Corp.によれば,2006年における世界のハード・ディスク装置(HDD)の出荷台数は,対前年比15.5%増の4億3420万台となった(発表資料)。2006年第4四半期における出荷台数は,対前年同期比15.8%増,対直前期比8.3%増の1億1970万台だった。

 コンピュータと家電製品向けの製品に加え,外付けハード・ディスクの売れ行きが好調だったという。2006年には対前年比37%増の260万台の外付けハード・ディスクを出荷した。外付けハード・ディスクの需要は,インターネット・サービスからダウンロードした大容量の動画や音楽ファイルを保存したいという消費者の希望に促進されている,と同社は分析する。

 一方,1インチ型のHDDの需要は失速した。MP3プレーヤーのメーカーが記憶装置として,HDDからフラッシュ・メモリへ向かったことが要因という。小型のHDDを手掛けていた米Cornice Inc.は,MP3プレーヤーや携帯型メディア・プレーヤー,携帯電話機向けの製品をHDDからNANDフラッシュ・メモリを使った製品へ転換すると発表した。

 また,2006年はパソコン向けのHDD分野でNANDフラッシュ・メモリを利用する新たなディスク装置,ハイブリッド型HDDが現れた。これに対応する米Microsoft Corp.の新しいOS「Windows Vista」の発売や米Intel Corp.の「Robson」の出現は,パソコンの記憶装置向けにフラッシュ・メモリを使用することに対する関心を高めたと同社は主張する。

 2006年の第4四半期のメーカー別シェアを見ると,米Seagate Technology LLCが対直前期比0.3ポイント増の34.6%でトップ。Seagate Technology社は,2006年前半に米Maxtor Corp.の買収を完了しており,このことが価格競争を一層激化させたという。2位は対直前期比0.6ポイント増の20.5%を獲得した米Western Digital Corp.。3位は米Hitachi Global Storage Technologies, Inc.(以下,日立GST)で,対直前期比0.3ポイント減の17.2%だった。

 iSuppli社によれば,2007年のHDD市場の出荷台数は17%程度増加する見通しだという。今後も大容量化と新たな用途の開発は進むと分析する。Seagate Technology社やWestern Digital社,日立GSTは,1Tバイトに近い大容量のHDDを販売している。