東北大学,安全な方法で光触媒活性能の高い酸化チタンを合成する技術を開発
東北大学多元物質科学研究所教授の垣花眞人氏らは,酸化チタン(TiO2)多形を,天然有機酸−チタン錯体の水熱分解によって選択的に合成する技術を開発した。この技術を使うことで,光触媒活性が高いタイプの酸化チタン多形を容易に合成できる。
一般に酸化チタンは,天然の鉱物としてアナターゼ,ルチル,ブルカイトの3種類の結晶構造(多形)で存在する。TiO2という化学組成をもつ多形では,人工的に合成するTiO2(B)など数種類がある。このうちアナターゼ型とルチル型の結晶構造を持つ酸化チタンの合成は比較的容易だが,より高い光触媒活性が期待されるブルカイト型とTiO2(B)型は,合成が難しかった。
今回の研究ではまず,水に溶解しにくいチタンを水溶化する技術を開発。その際,人体に無害な天然有機酸(フルーツ酸)であるヒドロキシ・カルボン酸を利用する新たな経路を作り出すことで,酸性からアルカリ性の幅広い範囲で安定な天然有機酸−チタン錯体水溶液を調整することに成功した。具体的には,サトウキビやレモン,リンゴ,ブドウの成分であるグリコール酸,クエン酸,リンゴ酸,酒石酸などをチタン可溶化剤として利用し,水を溶媒として使う。このため,安全で環境への負荷が少ない。従来のチタン原料には,発火性や腐食性がある,水と接触すると不溶性沈殿物を作る,など作業安全性や保存性の点で課題があったが,天然有機酸−チタン錯体を使うことで解決できるという。
この天然有機酸−チタン錯体の水溶液を水熱法(密閉容器内で水を溶媒とした反応溶液を100℃以上に加熱し,高温高熱状態の水の中で反応させる方法)で処理することで,酸化チタンのナノ粒子を作れる。このとき,天然有機酸の種類と溶液のpHを選択すれば,酸化チタン多形を選択的に作れることも分かった。界面活性剤やアミノ酸,カルボン酸を添加して形態を制御することも可能だ。
新しい方法によって得られたブルカイト型/TiO2(B)型酸化チタンのナノ粒子は,一酸化窒素(NO)による光分解で,従来の酸化チタンよりも高い光触媒活性能を示したという。












