セガトイズは,大陽工業のラジオ・コントロール玩具(リモコンによる無線操作が可能な自動車や飛行機などの模型)事業を買収する。買収期日は2007年2月28日,買収金額は1億1300万円を予定している。セガトイズは同事業の受け皿として2007年2月15日,資本金5000万円で100%子会社「タイヨー」を設立した。

 少子化などで玩具市場が縮小傾向にあるなか,セガトイズは,高齢者の脳を鍛える「脳力トレーナー」(Tech-On!関連記事1)や家庭用星空投影機「ホームスター」,自動演奏機能付きピアノ型玩具「グランドピアニスト」(同2)など,「大人が楽しめること」をコンセプトにした玩具に力を入れてきた。今回もこうした「大人向け」製品の強化の一環として事業買収を決めた。セガトイズによれば,室内用のヘリコプターや飛行機などのラジオ・コントロール玩具は,2006年のクリスマス商戦において30代~40代の男性を中心に売り上げを伸ばしたという。

 事業譲渡契約に含まれるのは,棚卸資産や備品,消耗品,金型および知的財産権である。人員や土地,建物は契約に含まれないものの,新会社「タイヨー」の従業員44人(設立時)のほとんどが大陽工業から移籍した人材という。セガトイズにはラジオ・コントロール玩具のノウハウがないため,「買収後も大陽工業のノウハウやムードを尊重したい」(セガトイズ広報)としている。拠点も東京都台東区にある大陽工業の本社,大阪府茨木市の営業拠点,山形県東根市の開発センターを貸借するといい,ブランドも「TAIYO」を引き継ぐ。代表取締役社長に就任するのは現・大陽工業の副社長である梅津守晃氏で,「当社からはヒラの取締役を派遣する」(セガトイズ広報)。販売取引先や仕入先もそのまま継承する。

大陽工業は清算へ

 買収する事業は,2005年度(2005年5月~2006年4月)の実績で売上高が前年度比22%減の17億8200万円だった。営業損益は5億2100万円の赤字である。大陽工業は同事業をほぼ専業としてきており,事業売却後は現・代表取締役社長の黒沼憲氏ら,残った人員が土地や建物の売却を進めるなど,企業の清算に当たる。

 セガトイズは,「当社の大人向け製品の企画開発ノウハウと大陽工業のラジオ・コントロール玩具のノウハウとのシナジーに期待する」として,新会社で2007年度(2007年4月~2008年3月)に売上高25億円,経常利益3000万円を見込んでいる。