NEOMAXが磁気特性を高めたフェライト磁石を開発,ネオジム系ボンド磁石の置き換えも狙う
NEOMAXは,残留磁束密度(Br)など磁石の特性を高めたフェライト磁石「12Bシリーズ」を開発した(図1)。
フェライト磁石は,白物家電や自動車の電装品に向けたモータなどで幅広く利用されている永久磁石である。例えば冷蔵庫のコンプレッサ・モータや洗濯機の回転モータなどによく利用されている。今回,磁石の組成などを見直すことにより,磁石の2大特性といわれるBrと固有保磁力(iHc)を改善した。Brは磁力の強さを表し,iHcが大きいほど外部磁界が変化しても磁石としての性能を保ちやすいことを示す。
ネオジム系ボンド磁石の置き換えも視野に
モータなどに磁石を使う場合,BrとiHcの両方が大きいと小型で力強いモータをつくりやすいのだが,一般にBrとiHcは反比例の関係にある。Brを高めるとiHcは下がってしまうため,両立が難しかった。今回は,同じiHcで比較した場合,同社従来品で最高性能を示していた,ランタン(La),コバルト(Co),ストロンチウム(Sr)を用いたフェライト磁石「9Bシリーズ」に比べてBrを7〜8%高めることに成功した(図2)。
これに加えて今回,iHcなどの磁気特性が温度によって変わりにくい性質にすることができた。具体的には9Bシリーズに比べて温度変化を約2/3に低減した(図3)。これまでのフェライト磁石で問題だった,いわゆる低温減磁を少なくし,低温下でも磁力などを保つことができる。
これらの成果により,フェライト磁石よりも価格が高いネオジム(Nd)系ボンド磁石の一部を置き換えられるようになったという。「自動車電装用の4極の直流モータなどで利用すれば,多少大きくなるものの,Nd系ボンド磁石を置き換えられると考えている」(NEOMAX)。重さあたりの価格で比較すると,Nd系ボンド磁石はフェライト磁石に比べて10倍程度と高い。このため,今回のフェライト磁石に置き換えると多少体積は増えるが製造コストは安く済むと説明する。
同社は今回のフェライト磁石の組成や製造方法に関してその詳細は明かしていない。ただ,例えば「Coの添加量を増やして実現した」とその一端は示した。一般にLa,Co,Srを使うフェライト磁石はCoの添加量を増加させると磁石の結晶がひずみ,作製するのが難しくなるという。Coの添加量を増やすために,そのほかの組成も変更しているようだ。製造工程については従来のフェライト磁石と同じであるため,従来設備で量産可能とする。
Coの添加量を増やしているため原料コストも上がり,売値は従来品に対して10〜20%程度上がるとする。しかしiHcを維持しつつBrを高めたので,同程度の性能を持つモータを作製する場合ならフェライト磁石の使用量が減り,モータの製造にかかるフェライト磁石の費用はほとんど変わらずに小型化が可能と同社は見ている。
今回のフェライト磁石は現在サンプル出荷中で,量産の要望があればすぐにでも量産できるという。2008年度に10億円,2010年度に20億円,2012年度に50億円程度の売り上げを目指す。


















