「脳トレ」市場が拡大している。矢野経済研究所が発表した玩具市場調査によれば,ニンテンドーDS用ソフトウエア「脳を鍛える大人のDSトレーニング」などの,脳の活性化を目的とした玩具の国内出荷規模は2005年度(2005年4月~2006年3月)の160億円に対して,2006年度(2006年4月~2007年3月)は230億円に達する見込みだ。DS用ソフトが幅広い年齢層に支持されたのを受けて,商品バリエーションや参入事業者が増えているという。なお,この「脳トレ」市場は矢野経済研究所が独自に定義分類したもので,各種ゲーム機用ソフトウエアのほか,教育用途のカード・ゲームなどを含んでいる。

 国内玩具市場全体では,2005年度の出荷規模は前年度比8.7%増の1兆349億円と1兆円を突破した。DSやソニー・コンピュータエンタテインメントの「PSP」といった携帯型ゲーム機の台頭で,家庭用テレビゲームの市場規模は同12.9%増の7210億円となった。2006年度は玩具市場全体で前年度比16.3%増の1兆2041億5000万円になる見込み。据置型ゲーム機の新製品が出揃い,とりわけ任天堂の「Wii」が好調に推移している。家庭用テレビゲームの市場規模は同23.6%増の8910億円と大きく伸長する見通しだ。

 日本玩具協会が分類する玩具9品目では,家庭用テレビゲームのほかは,いずれも小幅の増減にとどまっているが,矢野経済研究所が「注目市場」として分類したところでは,「脳トレ」のほか,オンライン・ゲームやフィギュア,筐体カード・ゲームといったところが伸長している。テレビや映画の影響で「オタク文化」の認知度が向上したことなどを背景に,フィギュア市場は2006年度に240億円の市場に成長する見込みだ。筐体カード・ゲームは,ゲーム・センターなどに設置されたゲーム機にユーザーがそれぞれ持ち寄る専用カードを挿入して対戦ゲームなどを楽しむというもので,2005年度は前年度の約4.6倍の532億円,2006年度は前年度比67.3%増の890億円と市場が急成長している。


注目市場の出荷金額推移