JASRAC(日本音楽著作権協会)など23の著作権関係権利者団体・事業者の代表者は2007年2月6日,動画投稿サイトを運営する米YouTube社と,YouTubeにおける著作権侵害防止策について初めて協議した。YouTube社からはCEOのChad Hurley氏やCTOのSteve Chen氏らトップが出席した。

 テレビ番組など多数の映像コンテンツが権利者に無断でYouTubeに掲載されている事態について,23団体は2006年12月4日,YouTube社に対して著作権侵害行為の事前防止策を要請する文書を送付している。その中では暫定対策として,(1)サイトのトップページに,コンテンツを違法に投稿しないよう警告文を日本語で掲示する。(2)今後コンテンツを投稿するユーザーに対して,氏名や住所などを登録させ,その情報を保管する。(3)YouTube社が2006年6月以降に削除した映像コンテンツを投稿したユーザーが,以後投稿できないようにアカウントを無効にする,の3点を提示した。

 今回の協議で23団体は,上記の暫定対策の導入を改めて要請し,YouTube社は(1)についておよそ1ヵ月以内に対応することを約束したという。また,親会社の米Google社の協力を得て,技術的に著作権侵害問題を根本的に解決するための努力を行うことも表明したとしている。ただし,いつごろをメドにこの技術が導入されるのかは現時点では未定である。

 一方で,(2)については違法行為をしないユーザーも含めて全ユーザーに適用することはできない,と却下された。(3)については,既に規約違反を3回したユーザーのアクセスを禁止するとともに,投稿したコンテンツを削除する仕組みを導入済みであるため,新たな対策は不要と回答したという。つまり,今回の協議で明確に前進があったのは(1)のみということである。「YouTube社とこのような話し合いの場を持てたのは解決に向けて前進と言える。ただし,回答の内容には決して満足できない」(JASRAC)。

 なお,今後の協議については具体的な内容がまだ固まっていないという。23団体では引き続き,YouTubeに投稿されたコンテンツが違法でないか監視していく方針である。