2006年度第3四半期の連結決算を発表するトヨタ自動車専務取締役の鈴木武氏
2006年度第3四半期の連結決算を発表するトヨタ自動車専務取締役の鈴木武氏
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 トヨタ自動車は,2006年度第3四半期(2006年10~12月)の連結決算を発表した。売上高は6兆1465億円,営業利益は5747億円を計上。前年度同期と比べてそれぞれ15.2%,19.2%と大幅に増加した。北米や,日本を除くアジアで減益に終わったが,日本からの輸出(主に米国向け)台数の増加に円安が追い風となり,全体で営業増益を達成している。

 地域セグメント別の連結決算では,日本の業績が全体の成長を底上げしている。2006年度第3四半期の連結生産台数は131万9000台で,前年度同期と比べて12%増加。売上高は3兆8062億円,営業利益は3835億円で,それぞれ前年度同期比10.6%,36.4%増加している。ただし,日本地域の収益拡大に貢献しているのは日本市場向けの製品ではなく,主に北米市場向けの製品。「北米市場のおう盛な需要に日本での増産で対応した」(同社専務取締役の鈴木武氏)という背景がある。実際,前出の売上高3兆8062億円のうち地域セグメント間の内部売上高が1兆7711億円を占めており,同じく日本市場の販売台数も前出の131万9000台のうち54万1000台に過ぎない。この日本市場の販売台数は前年度同期(57万1000万台)と比べて減少した反面,輸出台数は100万台以上増加し,国内連結生産台数の輸出比率が50%を上回った。この状況下で円安がプラスに作用したことで,大幅な増益を実現している。

 日本市場全体では特に登録車の販売台数が年々減っており,厳しい状況。とはいえ,2007年は「景気も上向いていることから,日本市場でのビジネスにそれほどのリスクは感じていない」(鈴木氏)という。同社の日本市場での収益性も,高級乗用車「レクサスLS」の発売などにより改善に向かっていると同氏は語る。

 北米地域は,売上高が2兆3781億円,営業利益が991億円で,前年度同期と比べて17.3%の増収ながら,22.4%の減益となった。減益の理由は「一時的な費用が幾つか発生した」(鈴木氏)こと。新型「Tundra」を生産するテキサス工場や,新型「Rav4」を生産するカナダ第2工場,新型「Camry」を生産するSIA(富士重工業の生産子会社)において,これらの新型車の売り上げがまだ計上されておらず,費用だけが出ているためだ。売り上げを計上するようになれば「収益は上向く」(同氏)という。

 北米市場のインセンティブの状況は,主力車種であるTundraや「Corolla」がモデル末期を迎えていたことから,単価は2006年度第2四半期よりも上昇している。ただし,それでも前年度の平均値程度でしかない上,他社の単価に比べれば低いと鈴木氏は語る。

 同地域の連結販売台数は76万4000台で,前年度同期の64万3000台から大幅に増えた。前出のRAV4やCamryの販売が好調な結果だという。

 欧州地域の業績は好調。売上高は8936億円,営業利益は348億円を計上した。前年度同期と比べてそれぞれ32.6%,30.7%増えており,同地域の業容は順調に拡大している。連結販売台数は30万6000台で,前年度同期の24万6000台から増加。Rav4や「Yaris」「Aygo」など「コアモデル」(同社)の販売が好調だった。

 一方,アジア地域の業績は低迷している。売上高は5619億円,営業利益は281億円。前年度同期と比べて12.1%の増収ながら,27.2%の減益となった。インドネシアや台湾で市場全体が落ち込んでおり,同社もその影響を受けた。ただし,世界戦略車である「IMV」の域外輸出は好調。インドネシア市場には回復の兆しも見られるという。

 2006年度通期の連結決算は,売上高が23兆2000億円,営業利益が2兆2000億円を見込む。上半期終了時点の予測から変更はない。

【訂正】記事掲載当初,日本市場の連結販売台数を54万1000台(2006年度第3四半期),57万1000台(2005年度第3四半期)と表記するべきところ,誤って541万台,571万台と表記しておりました。記事本文は既に修正されています。おわびして訂正いたします。

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