富士フイルムの2006年度第3四半期(2006年10~12月)の決算は,売上高が対前年同期比5.1%増の7165億円,営業利益が同69.7%増の707億円と,増収増益となった(発表資料)。この好調な業績に貢献したのは,フラットパネル・ディスプレイ材料や内視鏡などの医療製品を扱う「インフォメーション ソリューション」部門である。売上高が前年同期と比べ19.5%増加した。

 第3四半期の「インフォメーション ソリューション」部門の成長は,内視鏡や印刷CTP(Computer to Plate)プレート,フラットパネル・ディスプレイ材料の売上げの拡大に加え,2006年2月と10月にそれぞれ連結子会社化した英FUJIFILM Imaging Colorants Limitedと第一ラジオアイソトープ研究所の売上げが加わったことによるという。フラットパネル・ディスプレイ材料では,液晶テレビの世界的な需要増加に対応して,液晶パネルの偏光板の保護フィルムとして使われるTACフィルムなどの売上げが増加している。同社は2006年10月に,TACフィルムを生産する九州の新工場を稼働させた。

 一方,銀塩写真用のカラー・フィルムやデジタル・カメラを扱う「イメージング ソリューション」部門の売上高は前年同期に比べて12.3%減少した。デジタル・カメラ事業では,撮影感度を高め,顔検出機能などを搭載した機種を市場に投入したが,価格競争の激化により売上高が減少しているという。今後は生産を中国へシフトさせ収益を改善する考えだ。また,デジタル・カメラの普及により,写真感光材料事業も売上げが減少しているため,同社はイメージング ソリューション部門を中心とした構造改革に取り組む。

 デジタル複合機などを販売する「ドキュメント ソリューション」部門の売上高は,対前年同期比5.8%増の伸びを見せた。カラー・デジタル複合機の欧米への輸出とアジア・中国地域での販売が好調に推移したという。国内のオフィス向けプリンター事業においては,OEM供給先の在庫調整の影響で販売台数は減少した。しかし,自社ブランドの商品では販売台数を伸ばした。

 同社は,2006年通期(2006年4月~2007年3月)の業績予想を売上高2兆7500億円,営業利益1100億円に上方修正した。売上高が100億円,営業利益が300億円の増額である。第3四半期までの好調な業績と同社が進行中の構造改革費用などを検討した結果という。

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