米iSuppli Corp. が携帯電話機の市場調査を発表した(発表資料)。調査によると,フィンランドNokia Corp.は2006年通年で3億4800万台を出荷して,携帯電話機市場の世界シェア1位を維持した。この出荷台数は,シェア2位の米Motorola,Inc.と3位の韓国Samsung Electronics Co. Ltd. を合わせた出荷台数をしのぐ。しかし,2006年の市場を最も沸かせたのは英Sony Ericsson Mobile Communications ABだという。Sony Ericsson社は,2006年第4四半期に対前年同期比61.5%増の2600万台を出荷し,携帯電話機メーカーの中で最も大きく成長した。同社は,第2,3四半期においても15%以上の成長を記録している。通年では対前年比46.4%増の7480万台を出荷した。

 Sony Ericsson社は,これまで製品の品揃えを市場の中位機種から高位機種に向けてきたが,最近新たに低価格の携帯電話機市場に参入した。この動きが2006年の成長の要因だとiSuppli社は分析する。加えて,カメラと音楽再生機能が付いた端末で世界中の消費者のニーズを捉えたことが,2006年の成長を後押ししたという。

 世界シェア1位のNokia社の好調な業績に貢献しているのは,欧州市場である。Nokia社は,2006年第4四半期に対前年同期比26.6%増の1億600万台を出荷したが,この32%近くを欧州市場が占める。

 Nokia社に次ぐシェアのMotorola社は,第4四半期こそ利益目標に届かなかったものの,2006年通年では対前年比48.6%増という高成長で2億1740万台を出荷した。この好調に貢献したのは「MOTORAZR」の販売である。「MOTORAZRの成功は,市場全体を薄型端末へ向かわせた」とiSuppli社はいう。また,Motorola社は2006年後半に,低価格市場に初めて電子ペーパーを備えた端末を出荷した。しかしこの端末は,インドや中国といった特定の新興成長市場で求められるさまざまな言語や文字の表示が難しいという課題を抱えている。

 韓国Samsung Electronics Co. Ltd. と韓国LG Electronics Inc.は,共にアジア地域における販売低下で低迷した。Samsung Electronics社は,2006年第4四半期に3190万台を出荷したが,Sony Ericsson社との差は590万台まで縮まっている。LG Electronics社の2006年第4四半期の出荷台数は,前年同期とほぼ同水準にとどまり,メーカー別のシェアでも4位から5位に順位を下げた。LG Electronics社は同社の携帯電話機「Chocolate」シリーズの人気と「Shine」の米国での発売にシェア回復の期待をかけているという。