日本音楽著作権協会(JASRAC)は2007年1月25日,「2007年新春記者懇談会」を開催し,同団体の活動状況や今後の対応などについて報告した。その中でJASRACは,同団体が管理する楽曲を収録した動画コンテンツが多数,無断で掲載されている動画投稿サイト「YouTube」への対策について報告した。

 JASRACは2006年6月以降,米YouTube社に対して,米国の「デジタルミレニアム著作権法」に基づいて,著作権侵害に相当するコンテンツの削除を度々要請してきた。例えば,同10月にはJASRACを含む23の日本の著作権権利者団体・事業者が,YouTubeに対して合計で約3万の著作権侵害コンテンツの削除要請を行い,直ちに削除されたという。しかし,その後も同様のコンテンツの掲載が減らないため,同12月にはYouTube社に対して同23団体・事業者連名で著作権侵害行為の事前防止策の要請文書を送った。その中では,侵害予防システムを作ること,暫定措置として日本語による警告を表示したり,ユーザー・アカウント取得時に住所や氏名を登録させ,また無断でコンテンツを投稿したユーザーが再投稿できないようアカウントを無効にすることなどを要請したという。

 それ以降,大きな進展はなかったが,2007年2月初旬にYouTube社CEOのChad Hurley氏などが来日し,23団体・事業者と協議することが決まったという。同23団体・事業者側は協議の中で,「昨年12月に要請した侵害予防システムの構築を再度要求していく方針」(日本音楽著作権協会常任理事の菅原瑞夫氏)という。YouTube社が検討している日本での事業展開については,「著作権侵害防止の仕組みを作るのが優先事項。ビジネスの話は違法状態をなくしてからだ」(同)としている。