日経エレクトロニクスが2006年12月18~23日の6日間に日経BP社のWWWサイトを使って実施した「ヒット商品調査」の結果を発表する。今回の調査では,事前に本誌が選んだ81品目の商品の中から「2006年にヒットした」,「2006年にヒットしたのは意外だった」,「2007年にヒットする」と回答者が考えた品目を複数選択してもらった。回答者はニュース配信サービス「NEニュース」を通じて募った。有効回答者数は1283人。回答者全体の67.8%が「研究」や「設計・開発」「営業技術」など技術に関わる職業に従事していた。
 なお,日経エレクトロニクス,2007年1月29日号 pp.85-103に,このアンケートの結果を踏まえて,最近のヒット商品の傾向を分析した特集記事「ネットが創る意外な売れ筋」を掲載した。

2006年ヒット商品は「ニンテンドーDS」が支持率85%で圧勝

 「2006年にヒットした」部門で1位に輝いたのは任天堂の携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」で,支持率は84.9%だった。2位は支持率59.4%の「脳トレ関連製品(「脳を鍛える大人のDSトレーニング」など)」で,ニンテンドーDS関連が1,2位を占める形になった。アンケートの自由記述欄にも「DS+脳トレソフトは圧倒的だったと思う」といったコメントがあった。以下,3位「携帯型音楽プレーヤー」,4位「手ぶれ補正機能付きデジタル・カメラ」と続く。
 また,6位に米Google Inc.の地図閲覧サービス「Google Earth」,7位にボランティア運営のオンライン辞書サービス「Wikipedia」,8位には動画共有サービスの「YouTube」と,10位以内に三つのWebサービスがランクインした。こうしたネット・サービスも「ヒット商品」として認知されるようになった。

表1
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2006年の意外なヒット1位は「乗馬型健康機器」

 「2006年にヒットしたのは意外だった」部門の1位に輝いたのは「乗馬型健康機器」で得票率は32.4%。松下電器産業「JOBA」や大東電機工業「ロデオボーイ」などがあたる。2位は「2006年にヒットした」部門でも2位だった「脳トレ関連製品」が得票率24.8%で入った。以下,3位「高級炊飯器」(得票率24.8%),4位「スマートフォン」(同20.3%),5位「ソーシャル・ネットワーキング・サービス」(同19.3%)と続く。
 併せて,自由意見欄ではこうした意外なヒットがなぜ生まれたか意見を聞いた。「消費者が最初は気づいていなかったメリットをうまく打ち出せた」「今までとは異なる新たな価値観を創造した」「身近にできる癒しやトレーニングが,手軽さから受けている」といった冷静な分析が見られる一方で,「出してみないと分からない事もあると感じた」「実用性から考えたらそれほど必要性が高いとは思えない」「なぜヒットしたのかこちらが聞きたいくらい」と,消費者の意外なニーズに戸惑いを隠せない声も多かった。

表2
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2007年のヒット予想の1位はやはり「Wii」

 「2007年にヒットする」部門は,任天堂の据え置き型ゲーム機「Wii」が得票率67.6%という高い支持を集めて1位に選ばれた。Wiiの国内発売は2006年12月2日(Tech-On!報道特設サイト)。アンケートを実施した時点で発売後2週間以上が過ぎており,大ヒットの兆しをはっきり見せていた。順当な結果と言えるだろう。
 2位は得票率50.9%と半数以上から支持を集めた米Microsoft Corp.の「Windows VISTA」。3位は「フルHD対応薄型テレビ」(得票率43.8%),4位は「地デジ・ワンセグ対応カーナビ」(同42.9%),5位は「次世代光ディスクプレーヤー/レコーダー」(同39.4%)と続く。いずれもエレクトロニクス業界で今後のヒットが以前から期待されている製品である。
 この項目に関する自由意見欄も,「いい技術のものは必ず来ると思う」「ある程度売れるのが自明」「まだ2006年では期が熟していなかった。2007年になればもっと安くて良い商品が現れる」「現状より便利になるメリットが明確」といった楽観的な意見が多い。ただ,「今年ヒットすると思っていたがそうでなかった商品が多い」といった声もあり,必ずしも楽観一辺倒ではなさそうだ。
 得票率39.3%で6位に入った「3軸加速度センサ応用機器」については,「Wiiのヒットに伴い,3軸加速度センサ応用機器の展開が進む」という見方のようだ。この辺りは技術者らしい視点で興味深い。

表3
表3

回答者は大企業中心,65%が中堅

 全体の67.8%を占める技術者のうち,仕事内容で最も多いのは「設計・開発」で,全体の43.3%にあたる。年齢層で見ると,全体の65.0%が30~40歳代の中堅である。役職は社員が27.4%,主任/係長が25.2%,課長が21.2%で,現役の技術者が72.9%を占める。勤務する会社の主要な生産品目はLSI,半導体,部品が19.0%で最も多く,次に民生用電子機器が16.7%で続く。勤務する会社の規模は100~1000人が26.4%,1000~1万人未満が28.8%,1万人以上が27.1%と大企業に所属する回答者が多数を占めた。

回答者の仕事内容と年齢構成/回答者の役職と勤務する会社の規模