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「このパッケージ作れるの?コストは?」に答えるための国産EDA,その開発者に聞く

2007/01/22 11:07
小島 郁太郎=日経マイクロデバイス
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半導体パッケージング技術展でシーエィディプロダクトのブースに立つ村田洋氏 日経マイクロデバイスが撮影。
半導体パッケージング技術展でシーエィディプロダクトのブースに立つ村田洋氏 日経マイクロデバイスが撮影。
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GemPackage実行画面例 村田洋デザインテクノロジのデータ。
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基板配線の実現可能性チェックの手順 村田洋デザインテクノロジのデータ。
基板配線の実現可能性チェックの手順 村田洋デザインテクノロジのデータ。
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設計ルールの例 村田洋デザインテクノロジのデータ。
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チェック・ルールの設定画面 村田洋デザインテクノロジのデータ。
チェック・ルールの設定画面 村田洋デザインテクノロジのデータ。
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 ICパッケージ設計向けにありそうでなかったEDAツール。それが「GemPackageだ」と,同ツールを開発した村田洋氏(北九州市立大学特任教授でかつ村田洋デザインテクノロジ代表)は語る。1月17日〜19日に東京ビックサイトで開催の「第8回半導体パッケージング技術展」で同氏に話を聞いた。

 GemPackageは,LSIやSiP(system in package)向けパッケージの「フィージビリティ・スタディ(feasibility study)」で使うEDAツールである(Tech-On!関連記事1)。フィージビリティ・スタディとは,そのパッケージが物理的に作れるか,所望のコストに収まるかを検討することを言う。例えば,信頼性を確保しながらワイヤ・ボンディングが可能か,ショートの恐れがなく基板中の配線が可能か,所望のコストに収まる基板の配線層数にできるかといったことを検討する。

事前の検討が重要に

 かつて,パッケージは基本的に既製品だった。チップの寸法やピン数に合わせて,既成のパッケージから選んでいた。この時にはパッケージの設計は,パッケージ・メーカーの仕事で,チップ・メーカーやチップ・ユーザーにはあまり関係がなかった。最近はそれが変わっている。

 例えば,SoC(system on a chip)に代表されるハイエンドLSIでは,パッケージは基本的にカスタム品である。チップ(ダイ)だけではなくパッケージの特性も考慮して,LSIとしての性能を検討しなければならない。

 また,複数のチップを1パッケージに収めるSiPもパッケージは品種ごとに異なるカスタム設計が必要になる。こうした設計では,そもそも所望の大きさにパッケージングが可能なのか,コストは適正な範囲に収まるのかといった事前の検討が,パッケージをパッケージ・メーカーに注文する前に必要になる。

 ところが,上述したように,パッケージの設計はすべてパッケージ・メーカーに任されていたころの名残りのためか,パッケージ設計向けのEDAツールは,専門家が詳細設計を実行することを念頭のおいたものがほとんどだった。

 例外の一つとしては,NEC情報システムズのEDAツール「GENISSNX PKG-Estimator」がある(Tech-On!関連記事2)。このツールの主な用途は製品名の通りに,パッケージの配線層数を見積もることである。ただし,村田氏によれば,専門家向けツールがベースになっているという。実際,GENISSNX PKG-Estimatorでは詳細設計にも使える配置配線ツールが裏方のように稼働して,見積もりを提示するようになっている。「フィージビリティ・スタディには最適とは言い切れない」(村田氏)。

対話形式で配線をチェック

 一方,GemPackageは,「ラバー・バンド・アルゴリズム」と呼ばれる米国の大学で開発された技術を投入して,パッケージ基板の配線が物理的に実現可能かをチェックする。ユーザーはパッケージ基板のビアの位置と,大まかな配線経路を指定すれば良い。すると,同アルゴリズムがビア間など障害物間の配線許容本数を数えて,配線できるかどうかをチェックする。チェックはリアルタイムで実行され,問題箇所は色が変わるなどして,ユーザーに警告を出す。問題点がなくなるように,ユーザーは配線の引き回しを変えたり,ビアの位置をずらす(図参照)。

 村田氏によれば,現在,ラバー・バンド・アルゴリズムでは,チェックはできても,自動配線は基本的にできない。自動化は研究中と言う。ただし,この当たりはユーザーの考え方に拠るところは大きい。例えばある半導体メーカーのパッケージング担当者は次のように言う。

 「フィージビリティ・スタディの結果が詳細配線の結果と乖離しなければ,詳細配線と同じアルゴリズムやツールである必要はない。詳細配線はパッケージ・メーカーの仕事で,そのメーカーが使いやすいアルゴリズムなりツールで良い」。一方,フィージビリティ・スタディと詳細配線設計の連続性を重視するユーザーでは,どちらも同じアルゴリズムやツールの方が都合が良いだろう。

 このラバー・バンド・アルゴリズムを使った基板の配線実現性のチェックに加えて,フィージビリティ・スタディ向けに,さまざまなチェック機能がGemPackageには備わっている。チェック項目はおよそ100になる。例えば,パッケージのメッキ引き出し配線が上下層で重ならないか,ボンディング・ワイヤが他のレジスト開口上を横断していないかなど(図参照)などをチェックする。

産学協同+α

 GemPackageは,北九州市立大学特任教授の村田氏が開発したことから,産学協同の製品と言える。北九州産業学術推進機構半導体技術センター(学術研究と産業ニーズとのマッチングを担当する財団法人)によれば,GemPackageは北九州市学術研究都市から発信する最初のEDAツールであるという。しかし,GemPackageのGUIなどの使い勝手は,一般的な産学協同の成果物とは一線を画する。ベンダーが提供する市販のEDAツールと比べて遜色がない。

 それには理由がある。GemPackageは村田洋デザインテクノロジという個人企業が開発し,その村田氏を北九州市立大学が特任教授として招聘した。大学の教授の成果を製品化するためにベンチャー企業を興したのではない。かつて村田氏は村田製作所(同じ名前だが,特別な関係はない。念のため)でハイブリッドIC開発向けのEDAを担当していた。その後独立してEDAツールを開発,販売することになった。そして北九州市立大学の特任教授に就任後,東芝パッケージソリューションや大昌電子などとの共同研究を行って,同ツールの完成度を高めたという。

 現在GemPackageは,シーエィディプロダクトが販売・サポートを担当する。5年間分のライセンス料は300万円(保守費用は含まず)となっている。

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