PLCモジュールを内蔵した船井電機の32型液晶テレビ「Home Network TV」
PLCモジュールを内蔵した船井電機の32型液晶テレビ「Home Network TV」
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主な仕様
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 船井電機は,電力線搬送データ通信(PLC)のモデムを筐体内に内蔵した薄型テレビを試作し,2007 International CESに出展した。

 電源ケーブルをコンセントにつなぐだけでテレビをLANに接続でき,外付けのアダプタなどが不要であるのが特徴だ。北米でテレビなどに強い同社だが,現時点の主力は依然CRT型テレビ。液晶テレビでは後発になる分,新機軸を打ち出して消費者にアピールする狙いがある。

 船井電機が採用したPLCモデムは,パナソニック コミュニケーションなど松下グループが開発した「HD-PLC」仕様に基づくPLCモジュール(関連記事)。これを,32型の液晶テレビの電源コードを接続する部分の筐体内に収容した。これまでPLCメーカーは「家電の筐体内にモデムを内蔵してしまえば電源コード以外の配線なしにLANに接続できるのがPLCの魅力」と主張してきたが,試作機ながらもテレビで実際にPLCを内蔵した例はこれが初めてである。

 このテレビは,同社が「Home Network TV」と呼ぶ,LANに接続しての利用を積極的に打ち出した製品シリーズを基にした。時期は明確にしなかったものの,PLCを内蔵しない,100BASE-TXのLANポートを備えるタイプの発売方針は既に固めている。ソニーなどが推進するホーム・ネットワークの仕様「Digital Living Network Alliance(DLNA)」の認証ロゴを2006年12月に取得したばかりである。「そろそろ,テレビをネットワークにつなぐことに対して,機が熟してきたのではないか」(船井電機)。

 一方,PLC内蔵版の発売はまだ未定。「Ethernet,無線などの競合インタフェースの動向や,PLCの接続相手がどの程度増えるかを見定める必要がある」(同社)という。