【麻倉怜士CES報告10】ソニーの「BRAVIA」,ナンバーワンシェアの秘密
「アメリカで勝つには,数字と画質です」と語るのは,米Sony Electronics社でテレビ・ビジネスに8年携わっているバイス・プレジデントの澤村宣亮(のりたか)氏だ。筆者は前回のInternational CESで,ソニーの「BRAVIA」ブランドの劇的ヒットの話を書いたが,その後もハイペースで売れ続け,昨年末の市場占有率は「プロジェクタ分野で60%,40型以上の液晶テレビで50%,テレビ全体としては30%」(澤村氏)だという。
ヒットの理由は2つ。第1に徹底的に数字にこだわったこと。「1080p(テンエイティーピー)」――つまりフルHD(1920×1080画素)であることを表に出して消費者に訴えかけた。黒に「1080p」と金色文字で書かれたマークを積極的に押し出したのである。「私は米国で長くテレビのマーケティングをやっていますが,米国の消費者は数字にものすごく敏感です。そこで1080pのロゴ添付作戦を考えたのですが,これが大成功。72Opより1080pのほうがずっと良いと思ってもらえました」。
ここで割りを食ったのが,プラズマ陣営だ。フルHDのプラズマ・テレビはそのころ未発売で,720pやWXGAで売るしかない。高解像度化が得意な液晶テレビに数字として差を付けられた。「しかも1080pのpはprogressiveですよね。数字に加え,言葉的にも“凌駕感”があるんです」。
理由の第2は画質だ。「米国の消費者は画質に無頓着と言われたのは,昔のことだ。いや,逆に今は,自分が払うお金にふさわしい画質の価値があるかにすごく敏感になっているんですよ」。52型の液晶テレビで,ソニー製品は5000米ドル,韓国Samsung Electronics社が4300米ドル,シャープが4000米ドルという実販価格になっているが,これは画質に力を入れたことが反映されているとしている。
米国での最高級モデルの一つであるXBRシリーズは,日本国内モデルのトップのxシリーズと同じ回路を搭載し,絵づくりにもこだわった。この2つが,市場占有率トップを独走できた理由だ。
今年はさらに画質競争が激化すると見る。「プラズマ・テレビ陣営がフルHDでやってきますし,Samsungさんも画質に力を入れると言っています(関連記事)。ソニーは最高級回路を中級製品にも搭載し,圧倒的な画質力で戦います」。米国でそれほど画質が重視されるのは、HD放送だからだ。高画質化の波を牽引することが,勝利の秘訣になっているのだ。












