Wi-Fi AllianceがCES関連のイベント「ShowStopper」で掲示したWPSの説明。認証ロゴは右下。
Wi-Fi AllianceがCES関連のイベント「ShowStopper」で掲示したWPSの説明。認証ロゴは右下。
[画像のクリックで拡大表示]

 無線LANベンダーの業界団体であるWi-Fi Allianceは2007年1月8日,無線LANの暗号通信を簡単に設定するための業界標準仕様を策定し,相互接続性の確保を目的とした実装仕様「Wi-Fi Protected Setup(WPS)」とその認証プログラムを開始した。普及が進む無線LANだが,設定に詳しくない人が増えるため,通信内容を傍受される恐れを否定できないことが大きな課題だった。Wi-Fi Allianceは「2010年には,インターネットに接続する家庭の90%が無線LANを利用しているだろう。そのために今回の認証プログラムが非常に重要だった」という。

 WPSは,暗号通信の設定手順から利用者の知識に依存する部分を減らすことで暗号通信の設定を容易にする,無線LAN製品の実装仕様。具体的には,暗号通信に必要な暗号鍵を生成するための「PIN」と呼ぶパスワードの入力を利用者に明示的に促す機能である。利用中の無線LANに新しい端末を加えるような場合に,端末にPINの入力が必要になる。既に,米Atheros Communications,Inc.,バッファロー,米Conexant Systems, Inc.,米Intel Corp.,米Marvell Technology Group Ltd.,米Ralink Technology,Corp.の計6社10製品が認証ロゴを取得した。

 これらのメーカーの多くは以前から独自の仕様で,暗号鍵の設定手順をより簡単にする仕様を製品に実装していた。ところが,これまではメーカーごとに仕様が異なるため,例えばA社の親機とB社の端末の間では簡単設定の機能が利用できなかった。「メーカーごとに違う仕様ではこの簡単設定の機能自体に魅力がなかなか出てこない。多くのメーカーが協力して相互接続性が確保できれば,無線LANの使い勝手が大きく向上するだろう」(Atheros社)。

 バッファローも早くから簡単設定機能を実装していたメーカーである。同社はPINを入力する代わりに無線機器に設けたボタンを手順を追って押させる方式を採っていた。利用者がPIN番号を覚えておく必要がないのが特徴である。今回,この方法は「オプション」としてWi-Fi Allianceに採用された。