韓国LG Electronics社が発表した「BH100」
韓国LG Electronics社が発表した「BH100」
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 ハイブリッドは消費者に安心感と安寧感を与える---というのは,確かに一面の真実である。日立製作所が出した,ハード・ディスク装置(HDD)と記録型DVDのハイブリッド・ビデオカメラは,誰も予想しなかったほどの大ヒットとなった。HDDとDVDのどちらにしようか迷っているユーザーに「これを買っておけば,どちらにも対応できるからOK」という安心感を与えたのがヒットの理由だ。

 次世代DVDではBlu-ray DiscとHD DVDが規格争いを続けているが,ここにきて韓国LG Electronics社が両規格のパッケージ・メディアが再生できるハイブリッド・プレーヤを発表し(関連記事),さらにワーナー・ホーム・ビデオが1枚のディスクに両規格の信号を載せるハイブリッドな「トータルHD」ディスクを米国現地時間の9日に発表する。その詳細はまだ不明だが,多層記録が導入される模様だ。となると次世代DVDも「ハイブリッドで安心を与える時代」になるのであろうか。

 筆者はLG社の記者会見で,その場にいたワーナー・ホーム・ビデオの幹部にハイブリッド・プレーヤの感想を求めてみた。そうしたら同幹部は「Very Welcoming」と言っていた。ワーナー・ホーム・ビデオはBD-ROMもHD DVD-ROMも両方手掛けている。

 しかし,冷静に考えてみると,このハードとソフトの二つのハイブリッド製品は,実は矛盾するのではないか。なぜならばBlu-ray DiscもHD DVDも両方が掛かるプレーヤなら,別にハイブリッド・ディスクでなくとも単独ディスクでOKだ。逆にハイブリッド・ディスクがヒットすれば,単独フォーマットのプレーヤで読めるわけだから,ハイブリッド・プレーヤは要らない。このことを逆にいうと,どちらもあまり流行らないことが,どちらのためにもなるという意外な展開になる。つまりハードもソフトも,Blu-ray DiscとHD DVDが張り合っているほうが,自分のためにはよい。したがって,ハイブリッド・プレーヤとハイブリッド・ディスクは矛盾するのである。さて,どうしたものか……。