図1 LG社はBlu-ray DiscとHD DVDの両ディスクを再生できる光ヘッドを開発した。図は,その光学系の構成を示している。
図1 LG社はBlu-ray DiscとHD DVDの両ディスクを再生できる光ヘッドを開発した。図は,その光学系の構成を示している。
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 韓国LG Electorinics, Inc.は,Blu-ray DiscとHD DVDの両規格のパッケージ・メディアを再生できるプレーヤー「BH100」を発表した(同プレーヤーについての第1報)。同社によれば,今回のBH100は当初から「1200米ドル以下」をターゲットに開発を進めたという。「現状のBlu-ray Disc専用プレーヤーは,ソニー製で999米ドル,Samsung製で799米ドルほど。『HD DVDコンテンツも再生できる』という付加価値を消費者に受け入れてもらうには,価格の上乗せを20%ほどに抑えるべきと考えた」(LG社の説明員)。

 製品の部品コストを抑えるため,同社は2つの工夫を施した。その工夫の第1は,青紫色半導体レーザ1個でBlu-ray Disc,HD DVDを再生できる光ヘッドを開発したことである。

 LG社が開発した光ヘッドは,対物レンズを2個備える,いわゆる2レンズ方式である。一方がBlu-ray Disc用のレンズで,もう一方がHD DVD/DVD/CD用のレンズである。この2つの光学系で,1個の青紫色半導体レーザから出る光を切り替えることでレーザを共有する。切り替えるため,レーザ光の偏向方向を電子的に制御できるフィルタ素子と,光の偏向方向に従って反射/透過が切り替わる光学素子を組み合わせた。

 第2の工夫は,フロントエンドLSI,バックエンドLSIを両規格で共通化したことである。アナログ回路を含むフロントエンド回路はルネサス テクノロジ製,バックエンドLSIは米Broadcom Corp.製という(前回のCESにおける記事を参照)。

 ただし,コストゆえの制約条件もある。まず,このプレーヤーはCDの再生ができない。LG社が開発した光ヘッドはCDを再生するための光学系も備えるが,光ヘッドの歩留まりを高めるため,今回はプレーヤーとしてはCD再生機能をサポートしなかったという。「我々の市場調査の結果,次世代DVDプレーヤーでCDを再生するユーザーはごく少数にとどまることが分かった。価格を1200米ドル以下に抑えるため,今回はCD機能を削った」(LG社の技術者)。

 もう一つは,HD DVDのインタラクティブ機能「HDi」が使えないことだ。基本的なメニュー機能を使えるにとどまる。このため,厳密には同プレーヤーは「HD DVD準拠」とは言えない。実際にはHDiミドルウエアのほとんどは完成しているというが,ソフトウエアの検証作業が間に合わなかったものとみられる。一方でBD-Javaはフル機能を備えた。