「現在流行しているパソコンを使ったソーシャル・ネットワークを,物理的に自分の周囲にいる人に広げると,色々な面白い使い方ができる」(米Staccato Communications Inc.のFounder兼Business Development and Marketing担当Vice President,Mark Bowles氏)。Staccato社は韓国の携帯電話事業者SK Telecom Co., Ltd.と協力して,Staccato社製のWiMedia規格対応UWBチップを使ったWPAN(wireless personal area network)サービスを開発すると発表した(PDF形式の発表資料)。

 両社が目指すのは,両社が「PASN」(personal area social networking,「パッション」と発音)と呼ぶ,近距離無線を利用したソーシャル・ネットワークの各種サービスや,携帯機器とテレビやパソコンなどとの接続,インターネットのアクセス・ポイントから携帯機器に向けたコンテンツ配信といった用途である。Bowles氏によると,まず2007年1月開催の「2007 International CES」でデモを見せ,サービスの試作版を2007年中に公開する計画。当初は,ある韓国メーカの携帯電話機にStaccato社製の半導体を搭載する予定という。

若者の期待に応える

 「現在の若者は,自分のプロフィルなどをインターネット上のソーシャル・ネットワークで共有するのは当たり前だと思っている。携帯電話機にも,同じ期待を持っている」(Bowles氏)。Bowles氏は,PASNと呼ぶサービスのほか,ユーザーがコンテンツを共有する使い方も登場すると予測している。「米Microsoft Corp.の携帯型音楽プレーヤー「Zune」では,共有機能を使って他人に紹介した音楽をその人が購入すると,紹介したユーザーにも売り上げの一部が還元される。こうしたビジネス・モデルはZuneに限らないと思う」(同氏)。若者には自分にとって大切なコンテンツを他人と共有したいという気持ちがあり,携帯電話機をパソコンやテレビなどの機器と接続して,携帯電話機に保存したコンテンツを表示するといった使い方もあり得るという。

 SK Telecom社とStaccato社は,これらのサービスを実現するために,UWB上でCertified Wireless USBやWiNet,Bluetooth 3.0などのプロトコルを同時に利用できる技術の開発を進めている。このほか,セキュリティ関連技術も開発しているという。