ポケットビットミニ
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256Mバイトのタイプ
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キャリング・ケースに収めた状態
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0603部品を多用
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小型化を実現
小型化を実現
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「USBメモリは,今後パッケージ・メディアの役割も担っていく。今回の製品は,そのための第1弾だ」――。

 ソニーは,超小型のUSBメモリ「ポケットビットミニ」を開発,2006年12月から国内での発売を開始した(関連ページ)。USBメモリとして業界最小級の寸法を実現したほか,デザインを工夫することで,これまでの「ツール」としての役割から,「パッケージ・メディア」としての用途を訴求していくという。

携帯機器での利用も視野に


 同社の開発担当者は,小型USBメモリを開発した経緯を次のように語る。「現在,USBメモリの市場は2ケタ成長を遂げており,利用シーンも従来のオフィス環境以外に拡大しつつある。我々としてはこの動きにタイミングを合わせ,もっとユーザー層を広げたいと考え,新たな商品開発に取り組んだ。その一つのコンセプトとして,超小型の製品を実現した。メモリースティックDuoと同等の容積を目指した」(同社 コアコンポーネント事業グループ ケミカルデバイス事業本部 ディスク&メモリーデバイス事業部 メモリーデバイス部 事業推進課の細川亜紀蘭氏)。

 音楽プレーヤなどの小型化も,小型メモリ開発の発端になったという。「ウォークマンやビューワといった機器が急激に小型化するなかで,USBメモリがもっと小さくなれば携帯機器にも利用できると考えた。フラッシュ・メモリの容量も上がっているので,小型かつ大容量のUSBメモリを実現できる技術的な素地が整いつつあった」(同社 コアコンポーネント事業グループ ケミカルデバイス事業本部 ディスク&メモリーデバイス事業部 メモリーデバイス部 担当部長の船橋武氏)。パソコン向けのツールとしてだけではなく,携帯機器の補助メモリとしての使い方が増えると期待する。

0603だからこそできた


 小型でも十分な耐久性のある製品にするため,これまで利用していなかった技術も採用しているという。「まず,コンデンサなどに0603サイズの部品を多用している。ポケットビット・シリーズで0603部品をここまで利用したのは初めてだ。また今年開発した高集積のコントローラICを利用することで,部品点数を大幅に削減している。数千回以上の挿抜を繰り返すため,基板上に割れやすい部分が発生しやすいが,それを部品配置の工夫によって低減している」(同社の船橋氏)。誤接触の防止のために,接触部分の4本の電極(コンタクト・プレート)の間に土手のような構造を設けたほか,コンタクト・プレート自体も別部品として実装するなど,手の込んだ作りとなっている。

 デザインについても,こだわりを持って作り込んだという。「今回は『メディアらしい顔』にするというキャラクター付けをデザイン・コンセプトとした。いつも身につけて使う『高級文具(ツール)』のイメージではなく,CDやDVDのパッケージ・メディアのように,一人で10個くらい持っているイメージである。例えばカラーリングに関しては,従来のようなグレーの単一色では味気ない。それではコテコテのツールになってしまう。メディアとしてのバリューを考えた結果,半透明でビビットな色使いが浮かんだ。ポップなカラーリングを選んだのは,女性ユーザーも意識したものである。半透明にしたことで,基板の色が見える。その基板の色と組み合わせたときに,きれいに見えるような色を外装に採用した。外パッケージのプラスチック材料を接合させる際のラインも,なるべく目立たないように側面に設けるなど,ポップ感を失わないための工夫を随所に凝らした」(ソニーデジタルデザイン プロダクトデザイン部 ネットワークプロダクツグループ シニアデザイナーの出口道生氏)。裏にラベルを貼れる領域を設けていることも,パッケージ・メディアを意識した点である。樹脂製のキャリング・ケースに収めたときにも,本体が折れないように取り出せるような形状を徹底的に検討したという。

 既に海外市場で発売しており,順調な売れ行きを示しているという。パッケージ・メディア的な位置づけを模索する意味で,「今後は楽曲や動画などのコンテンツを組み込んだ形での販売の可能性などを探っている」(同社の船橋氏)とした。次は小型化以外の点で,USBメモリの新たなコンセプトを提示することを目指しているようだ。