日本音楽著作権協会(JASRAC)など映像の著作権に関する23の権利者団体が,動画投稿サイト「YouTube」を運営する米YouTube, Inc.に対して,著作権侵害の防止策を講じるよう要請した。2006年12月4日付で書面を送付,同15日を回答期限として, JASRACあてに返信するよう求めている。

 JASRACら23団体は,2006年10月にも「YouTube」に投稿された違法ファイル3万件の削除を要請して受理されている(Tech-On!関連記事)。このときは,一定期間に各団体が随時,個々のファイルの削除要請を行ったもので,23団体の連名でYouTube社に声明を送るようなことはしていない。

 今回は,23団体が名を連ねて,YouTube社のCEOであるChad Hurley氏とCTOのSteve Chen氏にあてて要請文を送付しており,一歩踏み込んだ対応といえる。要請文は,YouTube社の削除手続きが大量の違法アップロードによりうまく機能していないことを指摘し,違法アップロードの事前防止策を採るよう求める内容になっている。

 要請文には,23団体が考える防止策の具体例も盛り込んだ。すなわち,(1)「YouTube」のトップ・ページに日本語で「投稿者が著作権を持たず,権利者の許諾も得ないまま投稿する行為は違法」などと掲示すること,(2)投稿者に氏名と住所を登録させてその情報を保持すること,(3)23団体の求めに応じて削除したファイルの投稿者が今後投稿できないよう,ユーザー・アカウントを無効にすること,の3つだ。

 JASRACらは,YouTube社から回答があり次第,23団体で意見交換会を開催して回答内容を検討するとしている。回答がなかった場合については,「まず回答を促す。これまでの対応や,各国で訴訟に発展している現状をかんがみるに,YouTube側もこちらの要請を無視するという対応は採らないのではないか」(JASRAC広報)とした。