なぜXDRやFlexIOがPS3に載ったか,Rambus社に経緯と現状を聞く
米Rambus,Inc.は,同社の高速メモリ・インタフェース「XDR」と高速システム・インタフェース「Flex IO」がソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の家庭用ゲーム機「プレイステーション3」に搭載されていることを正式発表した。Rambus社が2006年11月30日に東京都内で開催した開発者向け会議「Rambus Developer Forum Japan 2006」において基調講演を行ったSCEによれば,FlexIOはマイクロプロセサ「Cell」とグラフィックスLSI「RSX」の接続と,CellとサウスブリッジLSIの接続にそれぞれ用いているという。XDRはCellの主記憶として使う。Rambus社において,PS3向けの技術や製品の開発責任者を務めた同社 Marketing Director,Platform Solutions GroupのRich Warmke氏に,これまでの経緯や現状,今後の見通しを聞いた。(聞き手:大石 基之=日経エレクトロニクス)
問 XDRとFlexIOがPS3に採用されるに当たり,Rambus社として最も苦労したことを教えて欲しい。
Warmke氏 SCEから出される性能面での要求水準が極めて高かったことである。PS3は民生機器でありながら,例えば,FlexIOは1端子対当たりのデータ伝送速度は5Gビット/秒に達する。これは,現時点の標準的なパソコンにおけるフロント・サイド・バスのデータ転送速度の約4倍に相当する。SCEは,これだけ高性能の機器を,累計で1億台以上も普及させようとしている。当然,メモリや論理LSI,プリント基板などには低コストで大量に生産することが求められる。こうした要求を満たす技術を開発するのは大変だった。
問 PS3のコスト低減や量産性の向上に対して,Rambus社のどういった技術が貢献したのか。
Warmke氏 一例を挙げれば,XDRとFlexIOの双方に適用している「FlexPhase」という技術がある。信号の送信側と受信側の双方の回路を利用して,パラレル伝送される複数信号間のタイミング調整を正確に行う技術である。この技術があることで,メイン・ボード上での等長配線や厳しいタイミング制約が不要になり,小型・低コストの機器を構築しやすくなる。
問 PS3が搭載するCell用主記憶のXDR DRAMについて,仕様や現状の供給メーカーを聞きたい。
Warmke氏 PS3に搭載されているXDR DRAMは,1端子当たりの最大データ伝送速度が3.2Gビット/秒でデータ・バス幅が16ビットの512Mビット品である。PS3では,このメモリを4個搭載し,64ビットのデータ・バスでパラレル伝送する。現在,PS3向けにXDR DRAMを供給しているのは,エルピーダメモリと韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.の2社である。
問 SCEは今後PS3の低コスト化を積極的に進めるだろう。XDRやFlexIO対応のLSIについて,今後の低コスト化の可能性について見通しを聞きたい。
Warmke氏 XDRもFlexIOも,半導体技術のさらなる微細化への対応を考慮して開発している。すなわち,65nmプロセス,45nmプロセスへの対応は可能だし,その先の32nmプロセスも視野に入っている。微細化への対応に当たり,今後解決すべき技術的課題は二つある。第1に,供給電圧の低下にどう対応するかということ。第2に,微細化に歩調を合わせて,PLLなどのアナログ回路の面積を継続的に縮小すること。いずれも簡単ではないが,解決は可能とみている。













