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 帝人は,報道陣/アナリスト向けに「帝人技術フォーラム」を開催し,併設の技術展示場に樹脂枠と窓を樹脂で一体成形したパノラマルーフを展示した。このパノラマルーフは面積が1.7m2と大型のもの。成形機を名機製作所と共同で開発することで,大面積でも均一な成形を可能としたという。

 共同開発した成形機は,窓の素材となる透明なPC(ポリカーボネート)と枠の素材となる黒色のPC/PET(ポリエチレン・テレフタレート)系アロイといった異なる2種類の樹脂を一体品として射出プレス成形できる装置。面積で2m2までの部品を成形できる大型のもので,型締め力も3400tと大きい。窓用と枠用といった二つのキャビティ側の金型の間に,両面をコア形状に加工した“中子”と呼ばれるコア側の金型を配置。窓部の成形後に中子を回転させ,引き続き枠の部分を2次成形できる仕組みになっている。型をある程度開いた状態で樹脂を射出し,それからプレスによって樹脂を型内に行き渡らせる方式のため,通常の射出成形と比べて型内で樹脂の圧力分布を均一に保ちやすい。

 もっとも,パノラマルーフのように大面積のものを均一に成形するには,それだけでは不十分。そこで工夫したのが,型を平行に保ちながら開閉する仕組みだ。具体的には,金型の駆動機構となる4本のアクチュエータ(油圧式)付きの軸を,それぞれ緻密にコンピュータで制御することにより,平行を保っているという。型が傾くと,成形品の肉厚が本来は均一になるべき領域でも,部位によって差が出てしまう。また,型にかじりが生じるといった問題も出てくる。共同開発した成形機では,こうした型のかじりを防止できる上,水平に開閉するように配した金型の上部と下部で,成形品の肉厚の差を50μmくらいに抑えられるという。