左がCellで右がRSX。RSXには4個のGDDR3 シンクロナスDRAMも封止してある。
左がCellで右がRSX。RSXには4個のGDDR3 シンクロナスDRAMも封止してある。
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左がBroadwayで右がHollywood。Hollywoodに実装されている二つのチップのうち,上がVegasで下がNapaとみられる。
左がBroadwayで右がHollywood。Hollywoodに実装されている二つのチップのうち,上がVegasで下がNapaとみられる。
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 「プレイステーション 3」(PS3)と「Wii」のメイン・ボードに実装されているマイクロプロセサとグラフィックスLSIのチップ面積を調べてみた。いずれもパッケージ上面に貼り付けられているヒート・スプレッダを取り除くと,インターポーザにフリップ・チップ実装されたダイが現れた。

 それぞれのチップ寸法をノギスで実測すると,PS3のマイクロプロセサ「Cell」は19.0×12.0mm(228mm2),グラフィックスLSI「RSX」は16.2mm×15.9mm(258mm2)だった。ちなみに,発売当時の「プレイステーション 2」(PS2)が搭載していた「Emotion Engine」のチップ面積は226mm2,「Graphics Synthesizer」のチップ面積は279mm2である。つまり,設計ルールこそ異なるものの,中核LSIのチップ面積は,PS3とPS2でほとんど同じということが分かった。

 なお,PS3でサウス・ブリッジの役割を果たすチップの寸法は,13mm×13mmである。PS2との互換性を高めるために搭載した「EE+GS」は,別のブリッジLSIを介して,このサウス・ブリッジにつながっている。つまり,PS2が搭載する入出力LSI「IOP」は,このブリッジLSIとサウス・ブリッジ,Cellによって代替している。なお,PS3が搭載しているEE+GSのチップ寸法は,12.5mm×7mm程度だった。

 CellやRSXを観察した後に,Wiiのマイクロプロセサ「Broadway」のチップを見るとその小ささに驚く。寸法は4.2mm×4.5mm(18.9mm2)だった。「ゲームキューブ」が発売時に搭載していたマイクロプロセサ「Gekko」(チップ面積は43mm2)の半分以下である。

 Hollywoodのヒート・スプレッダを取り去ると,二つのチップを封止したマルチチップ・モジュールであることが分かる。このうち外付けしたGDDR3 シンクロナスDRAMに近い方にある9mm×8mmのチップが,グラフィックス描画回路やDRAMコントローラ,各種入出力回路を集積したシステムLSI(開発コード名:Vegas)で,寸法が13.5mm×7mmのもう片方のチップが米MoSys社の「1T-SRAM」技術に基づく高速DRAM(開発コード名:Napa)とみられる。なお,ゲームキューブが発売時に搭載していたシステムLSI「Flipper」のチップ面積は110mm2だった。