矢野経済研究所は,国内におけるオンライン・ゲームの市場調査を実施。2010年度までの市場動向の分析と予測を発表した(発表資料)。調査対象は,コンシューマ用のパソコン向け市場と固定型のゲーム専用端末向け市場,これにアーケード市場を加えた三つである。市場規模はソフトウエアやパブリッシング売上高,オペレーション売上高を元に推計。端末や機器自体の売上高は含まれていない。

パソコン向けのアイテム課金採用型市場が急成長

 調査によると,2006年度のパソコン向けオンライン・ゲームの市場規模は前年度比35.3%増の653億1000万円。中でも成長が著しいのは,アイテム課金採用型ゲーム市場のパブリッシング売上高だ。アイテム課金採用型は,ゲーム内で有利になるアイテムや自分の分身となるキャラクター(アバター)の使用などに対して課金する料金システム。2006年度の市場規模は,前年度比71.2%増の302億円になる見込みである。ライト・ユーザー層やオンライン・ゲーム未経験層の増加を反映した。定額課金型のパブリッシング売上高が前年度比17.2%増の332億円であるのに比べても,成長の度合いが大きい。2010年度にはアイテム課金採用型が688億7000万円,定額課金型が396億6000万円になると予測する。一方,縮小傾向にあるのがパソコン向け市場のソフトウエア売上高。2006年度は前年度比14.8%減の19億9000万円の見込み。この傾向は今後も継続すると見られている。

 ゲーム専用端末向けの市場は2006年度末で,前年度比35%増の344億円の見込み。2010年度末には839億7000万円になると見られている。この市場のソフトウエア売上高は,2006年度末の見込みで前年度比144.9%の277億3000万円。ソフトウエアの売り上げが縮小傾向のパソコン向け市場とは異なり,増加傾向を示している。2006年後半の新たな次世代ゲーム機の販売を契機に,オンライン対応ソフトウエアの開発に積極的なデベロッパも多いという。

 アーケード市場は,ネットワーク対応機が好調に稼動。2006年度末の売上高は1028億円の見込み。これが2010年には2973億円に成長すると予測する。今後はネットワーク対応機の設置比率が上昇していくと見られ,2006年度末の見込み14.1%から2010年には30.9%になるという。

オンラインゲームの魅力は利便性と手軽さ

 インターネット利用者への聞き取り調査を見ると,オンライン・ゲームの主な魅力は利便性や手軽さであることがわかる。「遊びたいときにすぐに遊べる」ことや「短時間で遊ぶことができる」といった回答が上位を占める。調査ではパソコンと携帯電話のオンライン・ゲームの魅力をそれぞれ聞いているが,この傾向はパソコンよりも携帯電話のゲームの方がより顕著に現れる。一方,「安上がりにゲームができる」という魅力は,携帯電話よりもパソコンのゲームの方に強く現れる。パソコン利用時の方が携帯電話利用時と比較して,コンテンツ費用に対する意識がやや厳しいという傾向がうかがえる。