シャープは,ワンセグ放送の受信機能を電子辞書として初めて搭載した「PW-TC900」を2006年12月8日に発売する。同社によれば,電子辞書の市場はここ数年,頭打ちの状態という。2006年11月15日に発売したタッチペン入力対応機に続き,辞書機能と音声機能に「プラス・アルファ」を加えた製品で市場の活性化を狙う。

 PW-TC900には4.3型(480×272画素)のカラー液晶パネルを搭載した。このパネルは,同社が液晶テレビに使っている「ASV液晶」と呼ぶもので,これまで同社が電子辞書に用いてきた液晶パネルに比べると輝度が40%高いという。ワンセグ放送の本来の表示サイズ320×180画素を480×272画素に拡大して視聴することもできる。ただし,EPG(電子番組表)やデータ放送には対応していない。

 付属のLiイオン2次電池で連続5時間のワンセグ放送の視聴が可能。辞書機能だけなら約20時間使えるという。さらに,モバイル環境で長時間使いたいユーザーに向けて,同梱するのと同じ電池を別売でも用意した。筐体には液晶画面を180度回転させることのできる機構を採用(下の写真を参照)。画面を外側に向けて筐体を畳んだ状態で手に持ってワンセグ放送を楽しむことができる。


画面を回転させてキーボードが見えないように置くこともできる

 ターゲットにしているのは40代を中心とした30歳以上のサラリーマンだ。シャープによれば,高校生向け機種が売り上げを伸ばす一方で,一般向け市場は踊り場を迎えた感があるという。今回の新製品の投入で,新たにユーザーを獲得する考えだ。内蔵した辞書は,カラー画像付きの「スーパー大辞林」や約2万6000語の発音を収録した「ジーニアス英和辞典」に加えて,「経済新語辞典 06」や「社会人のマナー 186」「(川島隆太教授の)脳を鍛える大人の計算ドリル」など。ビジネスパーソンを意識したコンテンツをそろえた。


新製品(左)と搭載した辞書(右)

 SDメモリーカード・スロットを装備しており,容量1Gバイトまでのカードを読み取ることができる。シャープがSDメモリーカード形式で用意した電子辞書向けコンテンツを利用できるほか,デジタル・カメラで撮影したJPEG形式の画像を表示したり(1ファイル当たり約2Mバイトまで),MP3形式の音声教材などを再生することも可能だ(対応ビットレートは32k~192kビット/秒)。価格はオープンだが,発売当初の店頭価格は5万円前後になる見込み。8000台/月の規模で生産する。