Polar Rose社の顔認識技術の要素技術の一つ。2次元の写真を3次元のモデルに変更する。
Polar Rose社の顔認識技術の要素技術の一つ。2次元の写真を3次元のモデルに変更する。
[画像のクリックで拡大表示]

 スウェーデンのベンチャー企業Polar Rose ABは,画像内の顔認識技術を採用するオンライン画像検索サービスを開発するため,北欧のベンチャー・キャピタルNordic Venture Partnersから510万米ドルの投資を受けた(同社のWWWサイト)。Polar社の設立者でCTOのJan Erik Solem氏(同氏が発行した論文)は3次元モデルやパターン認識の研究を基に「Bloom」と呼ぶ顔認識技術を開発し特許を申請している。

 Polar Rose社はサービスの詳細を2006年末までに公開する。サービスを通じてユーザーから得た情報を基に変更を加えていく予定という。「我々は,特定のWWWサイトでしか利用できないサービスではなく,WWWサイトによらず利用できるサービスの提供を目指している」(Polar Rose社)。静止画だけでなく動画への対応も視野に入れているという。Polar Rose社は2007年第1四半期にサービスのベータ版を公開する予定。

 Polar Rose社以外にも,画像認識に関連する技術を手掛けるベンチャー企業が活発な動きを見せている。例えば,画像検索技術を開発する米Riya社は,独自開発した画像認識を利用したオンライン・ファッション店舗「Like.com」(WWWサイト)のアルファ版を2006年11月7日に公開した。Like.comでは例えば,オンライン上にある有名人の写真に写っている服などをユーザーが選択すると,好みの色で似ている製品を検索できる。2004年8月に設立したRiya社は既に1950万米ドルの投資を受けたという。

 画像認識技術関連で注目を集めているもう一つのベンチャー企業は,CogniSign LLCである。同社は,2006年11月7日~8日に米サンノゼ市で開催した「Consumer Technology Ventures 2006」で,同社の「Intelligent Image Recognition Technology」と呼ぶオンラインの画像検索技術を,パソコンだけでなく携帯電話機にも対応させることを検討していると説明した。CogniSign社の技術は認知心理学の研究に基づき,人間の画像認識プロセスをまねたもの。こうした技術を「Recognition Kernel」と呼ぶソフトウエアとして実装し,これを利用した「imageMATCH Search System」と呼ぶ静的画像や動画を検索できるサーバー・ソフトウエアを2005年10月に発表した。このほか「xcavator」と呼ぶパソコン内とオンラインの画像検索が可能なソフトウエアを2006年7月に発表している。同社によると,このRecognition Kernel技術を携帯電話機などの携帯端末に搭載することも計画中という。CogniSign社は2007年第1四半期に同ソフトウエアのライセンス販売を開始して,2007年第2四半期に同社の技術を採用する電子コマースのWWWサイトを公開する予定。

「xcavator」技術の利用例。写真の顔を選択して,その顔と似ている写真を検索する。
「xcavator」技術の利用例。写真の顔を選択して,その顔と似ている写真を検索する。
[画像のクリックで拡大表示]