記者からソフトバンクの定額制についてコメントを求められて「他社のことはコメントしづらいが,とりあえず,18時半から報道発表するようなことは当社ではしない」と喜久川社長
 2006年10月26日付けで社長交代人事を発表したウィルコムは,同11月15日,報道陣の前に新経営陣を披露した。新たに代表取締役社長に就任した喜久川政樹氏は,「多くの企業がPHS事業を諦める中,PHSの可能性を信じ続けて2005年度から反転攻勢に出ることができた。今後もPHSを将来にわたって存続・発展させたい」と抱負を語った。

 2006年度上期の決算は,前年同期比27%増の1231億円,営業損失は16億円だった。前年同期に比べると赤字は8割以上の縮減。単月ベースでは8月には経常損益で黒字転換したという。ARPU(1契約当たりの月間平均収入)は2005年度下期から40円低下して4040円だった。喜久川社長は,「携帯電話のARPUは5000~6000円台。4000円台で黒字の事業展開ができるようになったことが大きい」と話す。

 携帯電話番号ポータビリティ(MNP)の対象とはならないウィルコムだが,その影響と無縁ではいられない。「MNP開始以来,新規契約数が10%程度落ち込んでいる。今後は,音声定額のマーケットがどうなるかがポイントだ」(喜久川社長)。同社は2005年5月にウィルコム同士での音声通話に定額制を導入,2006年10月にはウィルコムだけに限らず「070」で始まるPHS全てを定額の対象とした。喜久川社長は「当社の定額サービスは時間帯に制限がないし,070なら全て対象と分かりやすい。当社はMNPの対象外だが,携帯電話キャリアの陰に隠れてしまうのは心外だ」と,他社の音声定額サービスを牽制するようなコメントを繰り返した。