東芝は,HD DVDプレーヤの普及価格帯の新製品として「HD-XF2」を2006年12月下旬に発売する(発表資料)。大きさは430×345×65.5mm3,重さは4.1kgで,2006年3月に発売した「HD-XA1」の437×354×115mm3,8.9kgに比べると小型・軽量だ(Tech-On!関連記事)。DVD-RAMには非対応としたり,映像D-A変換器を11ビット品から10ビット品に変更したり,端子の数を減らすなどして,価格を下げた。オープン価格だが,実売想定価格は4万9800円程度としている。


左:HD-XF2 / 右:HD-XA2

 同社は同時期に,HD-XA1の基本性能や機能を受け継いで,1080p出力やHDMIのディープカラー出力にも対応したハイエンド機「HD-XA2」も投入する予定。こちらは11万円台になる見込みだ。HD DVDレコーダについては「本格的な勝負は2007年から」(執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英氏)として,年末商戦に向けた新製品の投入は見送った。

 報道関係者向けの発表会で東芝は,製品説明よりもHD DVD機器の普及に向けたパートナーの紹介に時間を割いた。「Xbox 360」と接続して使うHD DVDプレーヤを2006年11月22日に日本国内へ投入するマイクロソフト,HD DVDメディアの大手メーカーであるメモリーテック,コンテンツ事業者のユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンといった企業の代表が次々に登壇してHD DVDの普及への期待を語った。


コンテンツ事業者がずらりと登壇した発表会場

 「ソフトがなくてはハードは売れない。みんなで盛り上げていかなければ」と藤井常務は話す。HD DVDソフトウエアの販売タイトルは2006年末までに国内で70本,全世界合計で約300本になる。Blu-ray Disc(以下,BD)のタイトルが同年末までに46本(2007年1月~3月に10本を加える。さらに時期未定ながら発売が決定しているものが19本)。現時点ではHD DVDがコンテンツ面でBDを一歩リードしていると言えそうだ。

 ただし,東芝としてはBDとの競争に勝つことよりも次世代DVDの普及を目指す考えという。「新製品の価格はたまたまPS3に近くなってしまった。普及機としては5万円を切らなければ,という意図だ。とにかく今は次世代DVDが認知され普及することが大切だ。BD機も普及価格帯の製品がどんどん出てくるといいと思っている」(藤井常務)。

 プレーヤの国内販売台数が1万台弱,レコーダが5000台弱と,HD DVD機器の普及はまだ進んでいない。2006年度中に全世界合計でプレーヤ50万~60万台の出荷を目標に,まずは年末商戦に向け,新聞紙面や地下鉄の車内,駅看板などで大々的な広告宣伝を打って拡販を図る。