米Spansion Inc.は,SIMカード向けフラッシュ・メモリ・ソリューション「HD-SIM」による製品を,2006年12月より量産する(発表資料日本語関連記事)。独自のフラッシュ・メモリ多値/高密度化技術「MirrorBit」(関連記事)に基づいた独自構造「ORNAND」型(関連記事)を活用するもの。

 搭載するフラッシュ・メモリは,90nmプロセスを適用する。まずは64Mバイト品と128Mバイト品をラインナップし,将来的に256Mバイト品まで拡充する予定。量産規模は未定。イスラエルmsystems Ltd.の大容量対応SIMコントローラと,フラッシュ・メモリ用ファイル・システム技術「TrueFFS」を採用している(関連記事)。インタフェースには,従来のSIMで使われてきたもののほか,より高速な伝送が可能なMMCとUSBの2方式を追加した。当初,Spansionのフラッシュ・メモリとmsystemsの論理回路の2チップ構成で生産を始めるが,2007年第2四半期に,これらを集積した1チップ品の生産を開始する計画。
 GSM,W-CDMAなどによる第3世代携帯電話のサービスが高度化するなか,SIMカードには,認証だけでなく,コンテンツ・サービスにも対応することが求められてきている。HD-SIMは,これに応える大容量と読み書き速度を実現するとしている。コンテンツ格納にも適した大容量で,セキュリティ機能用の論理回路を混載し,なおかつ2チップ以下のシンプルな構成を実現するフラッシュ・メモリ搭載SIMカード・ソリューションは,業界初という。

 これにともない,12月までに大手スマート・カード・メーカーと共同で,パイロット・プロジェクトを始動するという。パートナーについては12月に公表予定。なお,msystemsは,昨年,SIMカードを含むスマート・カードの開発企業Microelectronica Espanolaを買収しており(発表資料日本語),Gバイト・クラスの大容量フラッシュ・メモリ搭載SIMカードを共同開発している(発表資料日本語)。自らは米SanDisk Corp.に買収される予定で(発表資料日本語),手続きを進めている(発表資料)。HD-SIM製品の国内販売は富士通が行う。