写真1●代表取締役 社長執行役員の浦野文男氏

写真2●挿管用咽頭鏡「エアウェイスコープ」
 「当初の業績予想を下回ったことを,まず,お詫び申し上げます」。ペンタックスの2006年度中間決算(2006年4月~9月)の説明会は,代表取締役 社長執行役員の浦野文男氏のこんな言葉で始まった(写真1)。売上高は予想を3億円下回る746億6900万円,営業利益は9億円下回る15億5500万円。不振だった前年同期からは7.7%の増収,66.0%の増益となったが,「営業利益率が考えもしなかったくらい低かった(2.1%)」と浦野社長は振り返る。

 期初の予想に届かなかったのは,主にデジタル・カメラ用モジュール(以下,DCM)の大幅な価格下落と医用機器の新製品の投入遅れによるという。DCMの単価下落は下期も続くとみられ,主にこれを理由として同社は,下期の営業利益の予想を当初の47億円から40億円へ引き下げた。DCMを含むオプティカルコンポーネント事業の営業利益率は2004年度実績が16.9%,2005年度が11.2%,2006年度の見込みは6.8%と年々下がっており,事業環境の厳しさを物語る。DSMの単価下落の幅は年間で20%程度の見込みだ。同社は今後,ベトナム工場を増強して,これまで国内で生産していた部品も生産移管を進めるとしている。

 ライフケア事業では,開発の遅れに加えて認可の取得にも時間がかかり,新製品の投入が遅れた。このため,特に北米の内視鏡市場などで競合他社の新製品に押される状況が続いた。下期には遅れていた新製品,すなわち消化器系と鼻咽頭系の内視鏡,挿管用の咽頭鏡を投入して巻き返しを図る。同社は今後,ライフケア事業を主力に育てる考えで,研究開発費の約7割を医用機器に投じている。決算説明会では,管の先にLEDライトとCCDカメラを搭載した咽頭鏡の新製品も披露した(写真2)。

Samsungグループとの協業は

 現在の主力であるイメージングシステム事業は,前年同期の営業損失16億円に対して営業利益2億円を計上した。デジタル・カメラ事業の販売台数が伸びて在庫も低減しており,収益体質を改善しつつある。デジタル・カメラの上期の販売台数は150万台。通期は期初の予測に10万台上乗せして320万台を見込んでいる。11月末に投入予定の一眼レフ機「K10D」は想定を大幅に上回る予約を受けているという。

 K10Dは,韓国Samsung Techwin Co., Ltd.との第2弾の共同開発品だが,Techwin社が提供したのはソフトウエア部分の一部技術であり,「90%は当社が作った」(浦野社長)。協業関係を結んだ当初に期待をかけていたSamsungグループからの基幹部品の供給は「まだ始まっていない」(同)。一眼レフ機の共同開発の第3弾製品では「もう少しTechwin社の技術も取り入れられれば…」と同氏は語る。

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