日立金属 代表執行役 執行役社長の持田農夫男氏
日立金属 代表執行役 執行役社長の持田農夫男氏
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NEOMAX 代表取締役社長の土井川馨氏
NEOMAX 代表取締役社長の土井川馨氏
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 日立金属は2006年11月6日,同社の取締役会において,NEOMAX株式を公開買い付け(TOB)により取得することを決議した。TOB終了後は,NEOMAXを消滅会社とする合併を予定している。TOBおよび合併の目的は,日立金属の電子・情報部品セグメントにおける,モータ材料事業の強化である。

 NEOMAXは2004年4月1日,日立金属の磁材事業を継承した旧住友特殊金属が,商号を変更する形で誕生。日立金属の子会社(2006年3月31日時点での日立金属の持ち株比率は49.96%)として,主に磁石の開発・製造・販売を行ってきた。一方の日立金属はモータコアに使われる軟磁性体を扱っている。日立金属はNEOMAXを子会社化したときから,同社との経営上の相乗効果(シナジー効果)を狙っていたが,「別の組織である限り,おのおのは個別最適を求める」(日立金属 代表執行役 執行役社長の持田農夫男氏)ため,当初思っていたようなシナジー効果を得られなかった。同氏はNEOMAXの役員を務めていたこともあり,経験上,このことを深く認識していたという。

 今回,日立金属がNEOMAXの吸収合併に踏み切ったのは,日立金属がモータ材料を「持続的成長のドライビング・フォース」(持田氏)と認識しているため。例えばモータの高性能化には,軟磁性体と磁石の組み合わせを最適化することが不可欠だが,「この両者を異なる企業が開発していては,最適な組み合わせを思うように探れない」(同氏)。開発体制の一元化により,回転数の増大や制御の複雑化,ノイズなどへの対応を迅速に進められると,同氏は見ている。

 TOBは,2006年11月7日~12月11日の期間で実施する。買い付け価格は1株当たり2500円で,11月2日の終値2085円に対して約20%,同日までの過去1カ月間の株価終値の単純平均である2047円に対しては約22%高い。なお,NEOMAXは同日付でこのTOBに賛同する旨を取締役会において決議している。

【訂正】当初,NEOMAXの設立年月日を「2006年4月1日」としていましたが,正しくは「2004年4月1日」でした。記事は既に修正しています。