JSRは,2006年度中間期(2006年4月~9月)の決算を発表した。連結売上高は前年度同期比11%増の1790億3000万円,連結での営業利益は同11%増の274億9000万円だった。原材料費が「予想以上に高騰」(同社 常務取締役の春木二生氏)したことによる石油化学事業の減益や,液晶パネル・メーカーの生産調整が液晶パネル向け材料事業に影響を与えたといったマイナス要因があったものの,半導体やPDP向け材料が同社の想定を上回るほど堅調に推移したことがプラス要因になり,増収増益を確保できた。

 部門別に見ると,原材料費高騰のあおりを受けた石油化学事業が不調だった。合成ゴムなどを含むエラストマー事業部門は売上高が565億700万円で前年度同期比13%増,営業利益が56億8600万円で同4%増だったものの,エマルジョン事業部門は売上高が115億6400万円で同6%減,営業利益が8億4200万円で同35%の大幅減となった。合成樹脂事業部門は売上高が309億8500万円で同6%減,営業利益は15億8700万円で27%減と大きく落とした。これら3事業部門の営業利益の合計は約81億円であり,約89億円だった前年度同期に比べて減った。「原材料費が四半期ごとに大きく跳ね上がった影響」(JSRの春木氏)によるものである。

 一方,半導体や液晶パネル,PDP,光ファイバなどに向けた材料事業である多角化事業部門は,売上高が799億7300万円で前年度同期比20%増,営業利益は210億4700万円で同19%増と好調だった。このうち半導体向けの売上高は239億円で,同38%の大幅増である。液晶パネルやPDPといったフラットパネル向けの売上高は378億円で,同10%増。そのうち液晶パネル向けはパネル・メーカーの生産調整の影響により売上高は約5%増にとどまったが,PDP向けは国内PDPメーカーが堅調だったことにより売上高が約40%増と大きく伸びた。

 2006年度通期(2006年4月~2007年3月)の業績見通しは,売上高が3750億円(前年度比10.9%増),営業利益は570億円(同6.8%増)を見込む。

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