NECは,2005年度(2005年4月~2006年3月)の年次報告書(様式20-F)の米国証券取引委員会(SEC)への提出が遅れている件で,SECから非公式調査の通知を受けたことを明らかにした。同社は2006年10月5日にこの件で,米国NASDAQ市場から,NECがNASDAQ上場資格審査委員会へのヒアリングを申請しない場合には上場廃止もありうると警告を受けている。

 年次報告書の遅れについてNECは,ITソリューション事業における複合契約(ハードウエア,ソフトウエア,工事などを包括した契約)に関する価格の適正さの証明に手間取っていると説明する。同社によれば,2006年9月,SECから価格の適正さを客観的に示す書類の提出を求められたという。「従来にないことで,量も膨大なため,時間がかかっている。当社のNASDAQ上場を維持するべく,一日も早い提出を目指している」(同社広報)。

 今回,通知を受けた非公式調査は関係書類の任意提出などを求めるものだといい,NECはこれに全面協力するとしている。

 なお,今回の年次報告書提出の遅れに伴ってNECは2006年度中間期(2006年4月~9月)決算を従来通り米国基準で開示することは諦め,連結財務諸表を日本基準で作成すると発表した。当初,2006年10月下旬を予定していた中間決算の開示は2006年11月中旬に延期している。

個別中間決算は赤字に

 同社は同日,個別の中間決算について予想の見直しを行った。売上高は前回予想の1兆300億円に対して1兆250億円へ,経常損益は50億円の黒字から120億円の赤字へ,純損益は150億円の黒字から70億円の赤字へ,それぞれ下方修正している。売り上げの下方修正は携帯電話機の販売減によるもの。経常損益の修正は,将来発生する可能性があるソフトウエアの瑕疵補修などにかかる費用を見込み計上したことによるという。