ソニーが2006年10月19日に実施した緊急会見では,ゲーム事業の業績が当初予想を大幅に下回ることも明らかになった。その修正額は,注目を集めている電池を上回る規模である。

 具体的には,プレイステーション3(PS3)とプレイステーション・ポータブル(PSP)関連でそれぞれ300億円ずつ営業利益を下方修正した。さらに,PS3向け半導体の生産稼働率を落とすことにより,エレクトロニクス事業の利益が330億円減る見通しである。

 PS3関連の修正額300億円の内訳は,9月に発表した国内向けの価格変更(6万2790円から4万9980円)によるものが160億円,仕様変更によるものが140億円である。仕様変更は,5月と9月にそれぞれ発表したHDD,HDMIの全機種装備によるものだ。
 
 深刻なのは,プレイステーション・ポータブル(PSP)の苦戦だ。今期の出荷台数は当初1200万台を予定していたが,900万台にとどまりそうだという。今後のPSP事業の建て直しについては「楽しみ方を増やしていくしかない。今後発売を予定している(GPSやカメラなどの)周辺機器,ソフトウエアの充実で巻き返したい」とした。

 PS3向け半導体の生産稼働率を落とすのは,PS3向けの半導体レーザが確保できずゲーム機本体の生産台数を減らさざるを得なかったことによるものである。ただし2006年度末(2007年3月末)までの累計出荷台数600万台は変わらない。「生産計画を多めにしていたバッファ分が減る」(ソニー)のだという。部品のコストダウンや販売数の増加により,来期には黒字化を見込んでいる。


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