松下電器産業は,無機記録層にTe-O-Pdを用いたBlu-ray Discの4層媒体を開発した。1層当たり25Gバイトで,総容量は100Gバイト。同社によるBlu-ray Discの4層記録媒体の報告は初めてである。Te-O-Pdの物質比を工夫することで,100年後にもデータを再生できる耐久性を実現したという。

 Te-O-Pdは,透過率が高く多層化しやすいこと,構成物質が水に溶けにくく環境に影響を与えにくいことから,松下電器産業が多層化技術の要とする無機材料である。Te-O-Pdは,3元素の構成比で物質の透過率,結晶化速度,耐久性が決まる。今回松下電器産業は,「100年持つ耐久性」(同社)を実現しつつ,4層化に必要な透過率,2倍速記録が可能な結晶化速度を実現する構成比を見出したという。実用化の時期は未定だが,特にデータの長期保存(アーカイブ)用途に照準を当てて開発したとみられる。

 試作した媒体について,同社は2倍速記録したデータを1倍速で再生したところ,ジッタの最大値は8.5%だった。また,加速試験の結果を基に,ジッタが2%悪化する時期を計算したところ,気温30℃湿度85%の環境下で100年超,気温25℃湿度55%の環境下では1000年超となることを確認した。

 BD-Rの多層化では,TDKが2005年に容量100Gバイトの4層媒体(1層当たり25Gバイト)で2倍速を実現,さらに2006年には容量を200Gバイトとした1倍速の6層媒体(1層当たり33.3Gバイト)を実現している。