図1 タワーレコード 代表取締役社長 兼 ナップスタージャパン 代表取締役 CEOの伏谷博之氏
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図2 定額で無制限にダウンロードできる「サブスクリプション」と,1曲単位で購入できる「アラカルト」を用意
図2 定額で無制限にダウンロードできる「サブスクリプション」と,1曲単位で購入できる「アラカルト」を用意
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図3 5社が対応端末を発売済みで,さらに3社が開発中
図3 5社が対応端末を発売済みで,さらに3社が開発中
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図4 対応端末の1機種である日本ビクターの携帯型音楽プレーヤー
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図5 米Napster, LLC. PresidentのBrad Duea氏
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図6 Napsterの専用ソフトウエア
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図7 プレイリストをユーザー自身が作成して友人に送ったり,Napsterから入手したりする際に,サブスクリプション契約であれば楽曲を購入しなくてもそのプレイリストを再生できる
図7 プレイリストをユーザー自身が作成して友人に送ったり,Napsterから入手したりする際に,サブスクリプション契約であれば楽曲を購入しなくてもそのプレイリストを再生できる
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 「定額制で聴き放題のNapsterは,新しい音楽鑑賞の体験を与えられる」(タワーレコード 代表取締役社長 兼 ナップスタージャパン 代表取締役 CEOの伏谷博之氏,図1)。タワーレコード傘下のナップスタージャパンは,2006年10月3日から音楽配信サービス「Napster」を開始する。楽曲を定額で無制限にダウンロードできる「サブスクリプション」と,1曲単位で購入できる「アラカルト」を用意する。サブスクリプション契約は2種類あり,パソコン上に無制限にダウンロードできる「Napster Basic」が月額1280円,パソコンからNapster対応の携帯型音楽プレーヤーや携帯電話機などに楽曲を転送できる「Napster To Go」が月額1980円である(図2)。3年間でサブスクリプションの会員数を100万人まで増やすことを目指す。アラカルトで購入する場合の1曲当たりの最多価格帯は洋楽が150円,邦楽が200円。アラカルトでは,半年間で月間ダウンロード数を100万にする目標である。

5社26機種がNapsterに対応済み

 Napster To Goでは,著作権保護技術「Windows Media DRM 10 Mobile for Portable Devices」に対応する携帯機器に楽曲を転送できる。既にNTTドコモの「F902iS」,東芝の「gigabeat V30T」,日本ビクターの「XA-C109」など,5社の26機種がNapster To Goに対応済みである。NTTドコモは同日から開いた「CEATEC JAPAN 2006」において,F902iSを対応端末として出展した。10月3日に都内で開催された発表会にメッセージを寄せたNTTドコモ プロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部 執行役員の夏野剛氏は「われわれの音楽戦略は,多くの部分をNapsterに依存している。F902iS以外にも,これから多くの対応端末を出していく」と期待を表明した。シャープやケンウッドらが対応機器を発売する予定であり,ナップスタージャパンは「2006年中に対応機器の出荷台数が200万台を超える見込み」とした(図3図4)。

サービス開始時の楽曲数は,サブスクリプション契約向けに約150万曲(そのうち邦楽は約2万曲),アラカルト購入向けに約160万曲(そのうち邦楽は約9万曲)である。ソニー・ミュージックネットワーク,東芝EMI,BMG JAPAN,ビクターエンタテインメント,ユニバーサルミュージック,ワーナーミュージック・ジャパンなど276社がNapsterに楽曲を提供する。

実店舗との連携を重視

 タワーレコード・グループは,実店舗,eコマース,そしてNapsterという3種類の流通経路をユーザーに有効に使ってもらえるようにするとした。例えばNapsterの専用ソフトウエアには,表示中の楽曲のCDを購入できるタワーレコードのeコマース・サイトに誘導するボタンを用意した。この3年間で米国,英国,カナダでのNapsterサービスの立ち上げに携わってきた米Napster, LLC. PresidentのBrad Duea氏は「今回は,海外とのジョイント・ベンチャーによる初めてのサービス開始となる。日本市場で音楽関連ビジネスの経験や,関係者との良好な関係を持つタワーレコードとの協力によって,日本市場向けのローカライズを進めた戦略は間違っていなかったと思う」とした(図5)。ナップスタージャパンは,タワーレコードの実店舗で配布するフリー・マガジンと連動させたアーティストの特集ページを用意したり,タワーレコードによる推奨プレイリストを提供したりする(図6図7)。