ソニーは,同社子会社製のノート・パソコン用Liイオン2次電池セルを用いた電池モジュールの自主交換プログラムを全世界で実施し,取引先のノート・パソコン・メーカーに提案すると発表した(ニュース・リリース)。Dell社,Apple社,Lenovo社といったメーカーで同電池モジュールの回収が相次いでいることから「ノート・パソコンの事故に対するお客さまのご心配を払拭するためには,電池パックの自主交換プログラムを行うことが最善の策であると考えた」(同社リリースより)という。

 主要ノート・パソコン・メーカーのうちソニー製Liイオン2次電池セルを採用しているのは,既に回収を発表したDell社,Apple社,Lenovo社のほか,ソニー,東芝,シャープなど(ただし東芝は,電池セルとは異なる原因で2006年9月にソニー製電池モジュールを回収している)。今後,これらのメーカーはソニーと協議の上で,該当する電池セルを回収するかどうかを決定する。仮にノート・パソコン・メーカーが電池モジュールの回収を決めた場合,Dell社,Apple社が回収対象としたロットと同じもの全てを回収対象とする可能性が高い。回収・交換費用については,Dell社やApple社,Lenovo社の例からみて,ほとんどがソニーの負担となるとみられる。

「ノート・パソコンのシステム要因の影響も受ける」との考えは変えず

 ソニーは,電池セルの不具合について「ノート・パソコンのシステム構成の違いの影響を受けると判断している」としており,今もこの見解が妥当との姿勢を変えていない。

 とはいえ,Dell社やApple社の問題が顕在化したときに「システム構成上,不具合は起きないと問題ない」と表明していた中国Lenovo社のパソコンで発煙事故が起き,電池モジュールの回収措置に至ったことの影響は大きい。今まで「システム構成上問題ない」と判断していた他のノート・パソコン・メーカーも,判断の妥当性を再確認する必要に迫られそうだ。