図1 世界初BD-Video対応のHDDレコーダー
図1 世界初BD-Video対応のHDDレコーダー
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 松下電器産業は,Blu-ray Disc搭載HDDレコーダー「ブルーレイDIGA」を発表した(発表資料1)(図1)。Blu-ray Disc対応レコーダーとしては,世界で初めてBD-Video再生に対応する。片面2層で50GバイトのBD-R(追記型)やBD-RE(書き換え型)に記録もできる。国内の地上デジタル放送であれば,符号化データ速度が17Mビット/秒換算で50Gバイトのメディアに約6時間分の録画ができる。

 HDD容量が500Gバイトの「DMR-BW200」と同200Gバイトの「DMR-BW100」の2機種を用意した。価格はいずれもオープン。店頭予想価格は,DMR-BW200が30万円前後,DMR-BW100が24万円前後である。2機種とも,2006年11月15日に発売する。月産台数はそれぞれ3000台。

 今回のレコーダーと同時に,松下電器産業はBlu-ray Disc対応メディアを5種類発表した(発表資料2)。価格はオープンだが,店頭予想価格は追記型であるBD-Rの50Gバイト品が1枚4300円前後,25Gバイト品が同1800円前後,25バイト品を3枚セットで販売するものが5000円前後。書き換え型であるBD-REの50Gバイト品が1枚6000円前後,同25バイト品が同2500円前後である。いずれの品種も,2006年11月15日に発売する。

欠落した高調波成分を復元,さらに部品も選定して音質高める


 画質を高めるために,「美画質エンジン」と名付けた画像処理技術を使う(図2)。美画質エンジンはDVD搭載のDIGAでも使用していたが,今回は従来の美画質エンジンにBD-Videoを再生するエンジンを追加した。

 音質については,AAC音声圧縮処理によって欠落してしまうデジタル音声信号の高調波成分を復元する(図3)。従来のDIGAでも高調波成分を復元する機能を備えていたが,ステレオ音声の再生が前提であったために2チャネル対応だった。今回は,5.1チャネルのサラウンド音声でも高調波成分を復元できるようにした。「マルチチャンネル デジタル リ.マスター」と呼ぶ。

 一般に,地上デジタル放送で送られるコンテンツがサラウンド音声に対応する場合,各チャネルの音声信号は12kHzを超える周波数領域を省かれてしまうという。チャネル当たりの音声データを少なくするためである。その結果,ステレオ音声の場合に比べて,サラウンド音声の場合は音質が低下していた。今回,倍音成分を加えることによって,欠落した周波数領域を22kHzまで復元する。「倍音成分が多く含まれる弦楽器の音や,ハスキーな人の声などの音質が高まる」(松下電器産業の説明員)。

 さらにDMR-BW200では,音質を高めるために「中級以上のCDプレーヤなどに使われるような厳選した部品を搭載した」(前出の説明員)。例えば,電源回路を安定させるために応答特性に優れたレギュレータIC,Cuフレームを採用したEMI雑音が少ないオペアンプIC,ポリオレフィン材料で被覆することで部品の振動を抑え雑音の削減を図るコンデンサ,などを用いている。

図2 美画質エンジンの処理の流れ
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図3 欠落した高調波成分を復元
図3 欠落した高調波成分を復元
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