図1 クリックホイールを使って文字入力
図1 クリックホイールを使って文字入力
[画像のクリックで拡大表示]
図2 ファイル名の頭文字を表示
図2 ファイル名の頭文字を表示
[画像のクリックで拡大表示]
図3 アルバム・アートがぱらぱらと動く
図3 アルバム・アートがぱらぱらと動く
[画像のクリックで拡大表示]
図4 見たい番組だけ転送
図4 見たい番組だけ転送
[画像のクリックで拡大表示]

 2006年9月12日に,Apple Computer, Inc.は新型「iPod」やAVソフトウエア「iTunes」の新バージョン「iTunes 7」を発表した(発表資料その1発表資料その2関連記事)。両製品の特徴として,同社はユーザー・インタフェース(UI)関連の新機能をいくつか紹介した。Apple社によれば,2006年第2四半期に米国の携帯型音楽プレーヤー市場で同社は75.6%のシェアを取得したという。同社の成功の一因は,ユーザーに使いやすい環境の提供とされており,新しいUI機能にもその片鱗がうかがえる。

 新型iPodでは,端末の表面にある入力装置「クリックホイール」を使って,iPodに保存した音楽を検索できるようにした(図1)。メニューから検索用の画面を選び,画面上に表示されたキーボードの文字をクリックホイールを使って選択することで入力する。検索可能な情報は,曲名やアーティスト名,アルバム名,オーディオブック名,ポッドキャスト名である。新型iPodには容量80GバイトのHDDを内蔵する機種があり,「こうした検索機能は不可欠」(Apple社の説明員)とした。

 クリックホイール関連でもう一つ改善したのは,クリックホイールを素早く回したときの表示である。これまでは画面上で音楽ファイルの名称がスクロールするだけだったが,今回から,現在表示しているファイル名の頭文字を画面中央に大きく表示するようにした(図2)。これにより,大量のファイル名のうち,現在どのあたりを表示しているのかが分かりやすくなるという。

 iTunes 7の大きな特徴は,「Cover Flow」と呼ぶ新機能である。それぞれのAVコンテンツをアルバムなどのカバー・アートで表し,複数のコンテンツに対応する画像を3次元グラフィックスを使って横に並べて表示する(図3)。画像の下にあるスクロール・バーを動かすと,これらの画像が次々に前面に現れては移動するアニメーションを表示する。ユーザーが画像の中の一つを選ぶと,対応するコンテンツが選ばれる。このようにすることで,ユーザーが簡単に望みのコンテンツを見つけられるという。音楽だけでなく,テレビ番組や映画のファイルでも同じ機能を利用できる。この技術は,ソフトウエア技術者のJonathan del Strother氏が開発して,関連する知的財産をApple社に売ったものである。

 このほかiTunes 7では,パソコンとiPodがコンテンツを同期するときに,コンテンツの種類や属性に応じてデータを転送できるようにした。図4の例は,テレビ番組のリストからユーザーが見たいものを選択して,「まだ見ていないエピソードのうち,最新の3回分」をiPodに転送する設定をしているところ。下の棒グラフは,iPodのHDDに記録されたデータの容量を示している。データを音声,動画,写真,その他に色分けして表示する。