半導体景気は調整局面が続く。データガレージのデータ。
半導体景気は調整局面が続く。データガレージのデータ。
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 「受注環境の落ち込みは短期的には小さいが,復調を楽観視できる状況にはない」――。データガレージは,独自に調査・集計・算出する半導体BB比(受注額/販売額)である「DGレシオ」の2006年7月分を発表した。

 2006年7月のDGレシオは1.1と対前月比横バイとなった。受注は1.34(2003年1月時点との相対値)と対前月比で0.03ポイント減少し,販売は1.35と同0.03ポイント減少した。データガレージはこの結果を次のように分析する。

MPUや携帯電話機の受注環境は改善

 7月の受注は対前月比でわずかに減少しているが,その度合いは予想より緩やかである。MPU(micro processing unit)関連の受注には改善が見られることから,米Microsoft Corp.の次期OS「Windows Vista」向けのパソコン(PC)の生産が開始された模様である。

 分野別の状況は以下の通りである。携帯電話機の受注は対前月比で改善が見られる。8月も回復傾向が続いており,調整段階を短期で脱する可能性が高まった。ただしメーカー間で温度差が見られ,米国大手では9月まで調整局面が続くとの情報もある。民生機器の受注は,5月から始まったフラットパネル・ディスプレイ・テレビ関連部品の調整が続いている。8月からは徐々に回復すると見られるが,需要の伸びが鈍化していることからクリスマス商戦も楽観視できない。一方,テレビ・ゲームは盛り上がりを見せ始めた。任天堂の次世代ゲーム機「Wii」も本格量産に向けて立ち上がりつつあり,ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の次世代ゲーム機「プレイステーション 3(PS3)」も,量産向けに部品調達が急増している。

 8月に入ってもクリスマス商戦向けの受注増加は見られておらず,少なくとも8月いっぱいは景気の調整局面が続くと見られる。また,原油高によるエレクトロニクス消費への悪影響が次第に出始めており,米国での消費の減速が心配される。ただし,欧州は引き続き堅調な消費が続いている。

 ※DGレシオは世界の半導体,電子部品,製造装置,材料メーカー約20社からの聞き取り調査を基に,データガレージが独自に算出している。調査対象としている会社の社名は公表していない。