藤井氏は,HDTVの急速な普及をみて次世代DVD市場も急拡大すると予想する
藤井氏は,HDTVの急速な普及をみて次世代DVD市場も急拡大すると予想する
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 「DVDレコーダ/プレーヤは,2007年に12%,2008年には45%がHDTV対応の次世代型になると考えている。東芝としては早急に次世代へのシフトを図りたい・・・」。

 東芝 デジタルメディアネットワーク社長の藤井美英氏は2006年9月7日に始まった「2006東京国際デジタル会議」の基調講演で,国内市場においてDVDレコーダ/プレーヤの世代交代を積極的に進めていく姿勢を明確にした。

 2009年以降の見通しについては言及しなかったものの,会場で示したスライドでは2010年には85%,2011年には95%まで達するものと予測する。レコーダとプレーヤの比率については,2007年は6%ずつとほぼ同等とみているが,それ以降はレコーダの比率が徐々に増すと見込む。2011年には全体の60%がレコーダ,35%がプレーヤになるとする(なお,スライド画像で「HD DVDプレーヤー」「同レコーダー」となっているのは,次世代DVD全体の市場を指したもの。次世代市場の多くをとっていこうという同社の意気込みを示したものだという)。

欧州のHDTV市場は予想以上に拡大

 海外市場については,特に欧州市場への期待感を示した。欧州におけるHDTV市場の伸びに半信半疑だったという藤井氏だが,市場の拡大は予想以上で「2007年には米国を抜くと思う」とした。こうした状況を踏まえて同社は2006年11月にHD DVDプレーヤ2モデルを投入することを9月1日に明らかにしていた(Tech-On!の関連記事)。

 発売時期を11月としたのはソニー・コンピュータエンタテインメントのプレイステーション3(PS3)の発売に合わせたものだったが,PS3の欧州発売は2007年3月にずれ込んでしまった(Tech-On!の関連記事)。「早く知っていれば,もうちょっと違う戦略をとっていたかもしれない」とした藤井氏だが,「どっちにしろ大きな市場になる」と強気な姿勢をみせた。

 米国で発売した2機種の売れ行きが数千台にとどまっているという報道に触れ「米国でも数万台出ている。(今年の)暮れには進化版も投入予定だ」と,報道内容を一蹴すると同時に,今後の戦略の一端も明かした。

「次世代機に中国勢の市場席巻はない」

 藤井氏は,今後10年くらいの市場をみたときには,オンライン機能やインタラクティブ機能を備えた高性能機の比率が増えるとの見通しも示した。その結果,それなりのプロセサ能力やメモリ容量が必要となり,現行DVDのように中国勢が30~50米ドルの低価格機で市場を席巻することにはならないだろうと予測した。

 さらに,コンテンツの配信や記録形態についても言及,「2015年には映画コンテンツの50%くらいはダウンロードによって供給されるのではないか」とした。テレビ番組については1次記録先としてHDDがますます主流になると予想し,その容量は「松(高価格機)」が2T~4Tバイト,「竹(中価格機)」が600G~1Tバイト,「梅(低価格機)」が200G~500Gバイトになるとした。それでも,ビット単価が安く持ち運び可能な記録媒体として光ディスクはなくならないだろうとみている。