オムロン,MEMSの医療分野への応用例を紹介
オムロンは,2006年9月1日に開催された「MEMS技術のライフサイエンス分野への応用」発表交流会において,同社のMEMS技術の医療分野への応用例を紹介した。
今回の講演では,同社執行役員常務技術本部長の今仲行一氏が,圧力センサーとフロー・センサーの応用例について示した。
このうち圧力センサーについては,腕や指にあてて計測する血圧計を挙げた。同社の圧力センサーは,ドーナツ型構造を取るが,この構造が開発中に偶然得られたものであることを同氏は明らかにした。ドーナツ型は,圧力を検知するための薄膜が一般的なものとは異なる。一般に薄膜は,圧力を受けたときに中心部分が変位し,これを検出に使う。これに対して,ドーナツ型では円環状部分の変位を検出する。円環状部分の面積は,中心部分に比べて大きいため,より高感度で読み取れるようになる。この構造の特徴を同社が発見したのは,一般的な形状の薄膜の中央部分に,たまたまゴミが付着したことによる。パッケージのガラス板が,付着したゴミを介して薄膜の中央部を抑えることになったために,薄膜の中央部分は動かずに,周囲が円環状に変位するドーナツ構造が出来上がった。この特性が良かったことから,ドーナツ構造の採用を決めた。
なお仕様においては指にあてる製品の方が優れているというが,売れ行きは腕で測定する製品がよく売れたという。このため現在製品化しているのは腕に巻いて測定する製品のみである。
フロー・センサーについては,(1)睡眠時無呼吸症候群患者向けの在宅治療器,(2)家庭用の酸素濃縮器,(3)病院の麻酔器,などに利用できるという。(1)の治療器では,患者の口から気道に空気を流す量を制御する。(2)の酸素濃縮器では,流量制御やチューブ折れの検知に,(3)の麻酔器では増井薬の使用量や原料となるガスの混合比の制御に使える。
同社のフロー・センサーは,空気の流速を測定できセンサーであり,ダイナミック・レンジの広さに特徴がある。わずかな空気の揺らぎから台風の風速までを同一のチップで検出できる。チップ上に構成したヒーターを使って周囲の空気を温め,その温まった空気の動きを熱センサーで検知して風速を推定する。
同社は,医療分野の在宅における用途が今後ますます拡大していくと見ており,その中核技術の一つとしてMEMSを位置付けている。
















