KDDIは,携帯電話の番号ポータビリティ(MNP)商戦に向けた2006年秋モデル12機種を発表した。強化した機能の一つは音楽であり,同社au商品企画本部長の井上正廣氏は「ケータイは,ポータブル・オーディオを凌駕する存在になる」と語った。
ヤマハの協力を得て「原音の追求」
KDDIは,音楽機能を強化するにあたりヤマハの協力を得た。KDDIの携帯電話機には従来からヤマハの音源LSIを搭載していたが,今回は機種別に音作りや音質評価についてコンサルティングを実施するなど,端末の設計により一段踏み込んだ形だ。
各端末が搭載する音源LSIは,ベンチャー企業のダイマジックが開発した帯域拡張技術「DBEX」を採用する。「着うたフル」のようなネットワーク経由で配信される圧縮オーディオでは,一般に16kHz以上の周波数成分をカットする。DBEXでは,16kHzを超える高周波数領域,16kHz以下の可聴域,1kHz以下の低周波数領域それぞれにおいて倍音成分を加える補完処理を行い,より原音に近いイメージで音楽を再生できるようにした。
オンライン・ストレージなど8サービスを追加
KDDIは今回の新機種発売に合わせて,メールや写真などの保存用に100Mバイトのオンライン・ストレージの利用が可能な「au My Page」など8種類の新サービスを提供する。8月22日に発表したマルチキャスト機能「BCMCS」対応サービスとしては「EZチャネルプラス」や「EZニュースフラッシュ」,上り回線速度を最大1.8Mビット/秒まで上げた「CDMA2000 1xEV-DO Rev.A」対応サービスとしては「テレビ電話サービス」がある。
同社のテレビ電話ユーザーは,NTTドコモのテレビ電話ユーザーとも通話できる。KDDIのテレビ電話はパケット通信方式であるのに対して,NTTドコモのテレビ電話は回線交換方式を利用する。このためKDDIはプロトコル変換用のサーバを用意する。現時点でRev.A対応機種は,東芝製の「DRAPE」「W47T」の2機種だけである。