Nokia社のマルチメディア携帯電話機「Nseries」
Nokia社のマルチメディア携帯電話機「Nseries」
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 フィンランドNokia Corp.は,音楽配信のインフラを手掛ける米Loudeye Corp.を,約6000万米ドルで買収することで合意した(発表資料)。Nokia社は,Loudeye社のインフラを用いて2007年にNokia製携帯電話機向けの音楽配信サービスを始める予定という。Nokia社によると,Loudeye社の買収は2006年第4四半期に終了する。

 Nokia社の動きの背景には,携帯機器と配信サービスの密接な連携が双方の成功の鍵になるとの見方がある。米Apple Computer, Inc.の携帯型音楽プレーヤー「iPod」が成功した大きな理由の一つとして,同社が運営するメディア配信サービス「iTunes Music Store」との連携を上げる声は多い。米Microsoft Corp.も,「Zune」というブランド名の下に,自社製の携帯型音楽プレーヤーと音楽配信サービスを統合する方針を明らかにした(Tech-On!関連記事その1)。ここにきて,Apple社が携帯電話機を自ら手掛けるとのウワサも流れており(Tech-On!関連記事その2),こうした動きに対抗するためにNokia社は自社で音楽配信サービスを立ち上げることにしたと見られる。

 Nokia社が開始する音楽配信サービスの詳細は未公開。発表資料では,マルチメディア機能に特化した同社製の携帯電話機「Nseries」との連携を強調した。Nokia社は,2006年第2四半期に音楽再生機能を搭載した端末を1500万台販売したとして,自らが世界最大のデジタル音楽プレーヤー・メーカーと主張する。

 Loudeye社は,企業向けにオンライン配信システムを提供する企業として,1997年に設立。これまでLoudeye社は,同社が保有する160万曲を販売する権利を使って,携帯電話機向けの音楽配信サービスの実現に必要なインフラを他社に提供できるとしていた。同社の顧客には,Microsoft社の欧州版MSNや,米Viacom Corp.傘下の米MTV Networks社が欧州で提供するオンライン・サービスなどがある。