図1 「AQUOS ファミリンク」を使って機器間の連動性を高めた。リモコン1個で各種機能を実行できる。
図1 「AQUOS ファミリンク」を使って機器間の連動性を高めた。リモコン1個で各種機能を実行できる。
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 シャープは,HDMIによって機器間の連携性を高めた液晶テレビ「AQUOS」と一緒に,DVD搭載HDDレコーダ「AQUOSハイビジョンレコーダー」,テレビ台型のサラウンド・システム「AQUOSサラウンド」を発表した(図1)(発表資料1発表資料2発表資料3発表資料4)。1個のリモコンを使い,「テレビで視聴中の番組をリモコンの録画ボタンを押すだけでHDDレコーダに録画する」,「HDDレコーダ内の番組をリモコンの再生ボタンだけでテレビに映し出す」,「視聴する番組内容に応じてサラウンド・システムの音質を自動的に切り替える」,などの使い方が可能になった。液晶テレビとHDDレコーダをIEEE1394でも接続しておくと,液晶テレビとHDDレコーダがそれぞれ搭載するデジタル・チューナを両方使い,2番組をHDDレコーダに同時録画できる。

 シャープはリモコン1つで機器の連動制御できる今回のシステムを,「AQUOS ファミリンク」と呼ぶ。HDMIを使ってテレビとHDDレコーダ,音響システムの連携操作を高めた例として,松下電器産業が2006年3月に発表した「VIERA Link」がある(Tech-ON!関連記事)。シャープによれば,リモコンを使って操作メニューの画面を出して操作するといったことをせずに,AQUOS ファミリンクはリモコンのボタン1つで機器の連携操作ができることなどが他社と大きく異なると説明した。

セット販売の増加と,既存ユーザーのさらなる取り込みを狙う


 テレビとの連動時における各種のデジタルAV機器の使いやすさを高めることで,消費者が液晶テレビを単品ではなく,AQUOSブランドのHDDレコーダやサラウンド・システムもセットで購入する比率を高めることを狙う。AQUOSブランドの液晶テレビとHDDレコーダのセット販売の比率として「50%を目指したい」(シャープ 代表取締役専務取締役 AV・大型液晶事業統轄 兼 AVシステム事業本部長の片山 幹雄氏)とした。サラウンド・システムについては,セット販売の比率として「10%は欲しい」(同社 AVシステム事業本部 デジタルメディア事業部長の小田守氏)。

 AQUOS ファミリンクはこれまでに販売してきた液晶テレビやHDDレコーダ(一部を除く)にも対応している。「AQUOSを購入したユーザーに『AQUOSを買ってて良かった』と思ってもらいたい」(片山氏)。既に同社製品を購入した消費者が,液晶テレビやHDDレコーダを買い直す機会にAQUOSブランドを購入しやすくなるとみる。なお,AQUOS ファミリンク対応のリモコンを単品で販売することも検討中という。

 今回発表した液晶テレビは20~37型の9機種。このうち37型品の4機種と32型品の2機種でAQUOS ファミリンクに対応する。価格はオープンだが,店頭予想価格は1920×1080画素の液晶パネルを搭載する37型品が38万円前後,1366×768画素の37型品が33万円前後,32型品が24万円前後である。AQUOS ファミリンクには対応しない26型品は19万円前後,20型品は14万円前後。
 DVD搭載HDDレコーダはHDD容量が250~800Gバイトの4機種で,いずれの機種もAQUOS ファミリンクに対応する。店頭予想価格は,800Gバイト品が19万円前後,400Gバイト品が12万円前後,250Gバイト品が10万円前後,ビデオを搭載する250Gバイト品が13万円前後である。
 サラウンド・システムは,幅1400mmの品種が13万5000円前後,1150mmの品種が12万5000円前後。液晶テレビは,2006年9月1日~10月1日にかけて,HDDレコーダは9月1日~10月20日にかけて,サラウンド・システムは10月1日と23日にそれぞれ順次発売する。

番組情報から映像のジャンルを読み取り,音質変更


 サラウンド・システムでは,受信した地上デジタル放送やBSデジタル放送などの番組情報の中から「シネマ」「スポーツ」といったジャンルに関する情報を液晶テレビ側で読み取り,その番組内容に関する情報をHDMIを介してテレビから受け取ることでサラウンド・システムが音響モードを切り替える。

 音響モードとしては,低音強調すると共に広がりのある音場に設定する「シネマ」や,解説者の声は中央に定位し歓声など周囲の雰囲気を周辺部に定位させる「スポーツ」など7種類を用意した(図2)。米Dolby Laboratories,Inc.の疑似サラウンド技術「Dolby Virtual Speaker」を採用しており,視聴者の前面に位置するスピーカ(今回のサラウンド・システムが搭載)で視聴者の背面や側面のスピーカからの音を仮想的に作り出す。加えて,音質を高めるために,「1ビット・アンプ」を搭載した。1ビット・アンプのサンプリング周波数は11.2MHz。

 今回,「どんなお客さんにも,映像に合わせて最適な音場を提供したかった」(シャープの小田氏)という狙いから,サラウンド・システムもAQUOS ファミリンクで連携できるようにした。最適な音場を作り上げるために,これまでもたくさんの機能を積んでいたが,あまりにも多すぎるので十分に活用できていない状況が多々あったという。この問題を解消するための解が,映像のジャンルに合わせた自動設定だとする。自動設定にはHDMIに含まれるCEC(consumer electronics control)の制御コマンドを使った。

図2 7種類の音響モードを用意
図2 7種類の音響モードを用意
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