NTTドコモは,2006年度第1四半期(4月~6月)の決算は増収減益だった。営業収益は前年比2.7%増の1兆2186億円,営業利益は前年比5.2%減の2727億円だった。

営業収益が増えた要因のほとんどが,定額料金の未使用分を最大2カ月間繰り越せる割引サービス「2ケ月くりこし」の失効見込み額を計上したことによるもの。これを除く収益は「ほぼ横ばい」(同社 代表取締役 社長の中村維夫氏)だった。

 営業利益が減った理由として挙げたのが,営業費用の増加である。とりわけ,端末販売関連経費が前年同期に比べて284億円増えたという。具体的には,端末販売台数が前年同期に比べて12万台増え,さらに端末メーカーからの購入費用が高いFOMA端末へのシフトが進んだことによる。FOMA端末の中でも高機能機種が予想以上に売れたという。

 直近の業績を図る指標としては,中村社長が「低すぎる」と表現するほど解約率の低下が際立った。第1四半期の解約率は0.64%で2005年度通期の0.77%を下回る。5月と6月に限ってみると,0.6%とさらに下がった。2006年10月に控える同番号での通信事業者移行制度(MNP)の導入を前にした「乗り換え控え」ではないかという見方を示した。同社は,通年の解約者数と他事業者からの新規契約者数をいずれも200万~300万程度と見込んでいる。同社が実施した事前調査などから,MNPの導入によってこの数は20~30%増えそうだと予想している。

 第3世代移動体通信方式(3G)による「FOMA」の基地局については,「MNP対策として過去最大のペースで増設している」という。カーバエリアは,2007年3月には第2世代(2G)のmovaを上回る。今期に始めたクレジット・カード・サービス「DCMX」の契約数は,7月末には50万に達する見通しという。中村社長は「立ち上がりとしてはまずまず順調」とした。

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