TI社の現行チップ「CC2430」の開発キット
TI社の現行チップ「CC2430」の開発キット
[画像のクリックで拡大表示]

 米Texas Instruments Inc.は,無線通信規格「ZigBee」に向けた送受信ICとプロトコル・スタック・ソフトウエアの出荷ロードマップを一部明らかにした。2007年中に送受信IC(RFトランシーバIC)を新たに3種類,専用のパワー・アンプを1種類製品化する。いずれも世界共通で利用できる2.4GHz帯向けチップである。現行の送受信ICやソフトウエアとあわせ,ホーム・オートメーションやビル管理などの用途に向けて拡販する方針だ。

400mの伝送距離を実現へ


 TI社は2006年初頭にノルウエーChipcon社を買収する形でZigBee市場に参入した(Tech-On!の関連記事)。Chipcon社の時代から,RFトランシーバIC「CC2420」と,マイクロコントローラも集積した「CC2430/CC2431」を出荷していた。「これらの開発キットは,既に2000セット以上販売していた」(TI社 Worldwide Business Development Manager,IEEE802.15.4/ZigBeeのGraham Martin氏)。このうちCC2430は大量受注時の単価が4米ドルという。

 2007年に出荷予定の送受信ICでは,価格を現行の25%~35%低減する。より微細な製造プロセスを利用することでチップを小型化してコスト削減を図る予定。「価格は3米ドル以下がターゲットになる」(TI社のMartin氏)。一方で内蔵するフラッシュ・メモリなどの容量を高めることで,より使い勝手を向上させる計画。送信出力は0dBmだが,伝送距離は100m以上を確保できるという。送信距離を400m程度まで伸ばす目的で専用パワー・アンプも製品化する。さらにプロトコル・スタック・ソフトウエアに関しては,ホーム・オートメーションに必要な各種アプリケーションのプロファイルを実装した新たなソフトウエアを2006年8月に出荷する。また2006年12月に出荷予定の高機能版「The ZigBee Pro Stack」では,ほかの無線サービスとの相互干渉をキャリアセンスによって防ぐ機能「frequency agility」を初めて搭載する。