記者会見で謝罪するパロマ首脳陣。左から3人目がパロマ代表取締役社長の小林弘明氏,その右がパロマ工業代表取締役社長の小林敏宏氏
記者会見で謝罪するパロマ首脳陣。左から3人目がパロマ代表取締役社長の小林弘明氏,その右がパロマ工業代表取締役社長の小林敏宏氏
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これまでの経緯を説明するパロマ代表取締役社長の小林弘明氏。「今は問題の解決に全力を尽くしたい」
これまでの経緯を説明するパロマ代表取締役社長の小林弘明氏。「今は問題の解決に全力を尽くしたい」
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弘明氏の父でパロマ会長,パロマ工業代表取締役社長の小林敏宏氏。前回の会見には出席しなかった。「甘えがあった。今回の問題が収集したら会社から身を引くことも考える」
弘明氏の父でパロマ会長,パロマ工業代表取締役社長の小林敏宏氏。前回の会見には出席しなかった。「甘えがあった。今回の問題が収集したら会社から身を引くことも考える」
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事故を起こした製品と同型式の半密閉式瞬間湯沸かし器(左)。右の最新製品と無償交換する。対象機種はPH-81F,PH-82F,PH-101F,PH-102F,PH-131F,PH-132F,PH-161Fの7機種。いずれも1980年から1989年の製造
事故を起こした製品と同型式の半密閉式瞬間湯沸かし器(左)。右の最新製品と無償交換する。対象機種はPH-81F,PH-82F,PH-101F,PH-102F,PH-131F,PH-132F,PH-161Fの7機種。いずれも1980年から1989年の製造
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 パロマ工業は2006年7月18日,名古屋市内の本社ビルで記者会見を開き,7月14日に経済産業省から事故報告命令を受けた屋内設置型の「半密閉式瞬間湯沸かし器」7機種による一酸化炭素(CO)中毒事故の件数が,1985年から2005年までに合計27件あったことを明らかにした。このうち13件で合計20名が死亡した。

 半密閉式瞬間湯沸かし器は屋内から吸気し,燃焼後の排気を屋外に排出する。該当の湯沸かし器は1980年から1989年に製造されたファンで強制排気するタイプで,何らかの要因でファンが作動不良を起こしたため,排気に含まれるCOが屋内に逆流して事故に至ったという。

 14日に経済産業省が指摘した事故件数は17件(うち10件で15名が死亡)であった。だが,その後の社内調査で新たに10件の事故が発覚した。また,14日に開かれた記者会見で同社は,事故の原因はすべて「不正改造により安全装置が作動せず,ファンが動作しない状態で燃焼が止まらなかったため」と強調していた。しかしその後の調査で,不正改造と関係なく起こった事故が,合計13件あることが明らかになった。うち6件については「安全装置の経年劣化による故障と,ほかの要因が複合して起きた」(取締役技術管理本部長の青木 豊氏)とする。ただし,「今の基準で考えれば,安全性への配慮が十分とは言えないが,当時は十分と考えていた」と設計ミスであるという見方を否定した。なお,不正改造と関係ない13件のうち,残りの7件は「原因を調査中もしくは現時点で確認できていない」(経理部 部長代行で社内事故調査委員会 委員長の小川宏樹 氏)。

 こうした当初の発表との食い違いについて,「社内の連絡不行き届き,情報収集能力の不足,経営者としての認識の甘さによるもの。意図的ではない。責任を痛感しており,被害者にはこの場を借りて改めてお詫びしたい」(パロマ工業の販売部門であるパロマ代表取締役社長の小林弘明氏)と頭を下げた。そのうえで,「危険性のある機器をこのまま放置できないと考え,該当の7機種を,最新製品と無償で交換する。もちろん工事費もパロマが負担する」との方針を明らかにした。また,当該以外のパロマ製品の買い取りも検討中とした。こうした措置に掛かる費用は未定とする。