NEC製の「SIMPURE N」
NEC製の「SIMPURE N」
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韓国LG Electronics社製の「SIMPURE L」
韓国LG Electronics社製の「SIMPURE L」
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 NTTドコモは,海外ローミングに対応した低価格携帯電話機「SIMPURE N」「SIMPURE L」に不具合があるとして,販売を2006年7月下旬まで停止する(ユーザーへのお知らせ)。海外で同機種を利用する際に,一部の海外携帯電話事業者のネットワークとの間で認証が正常に行われず,FOMAカード(SIMカード)にロックがかかることがある。ロックがかかると携帯電話機が圏外表示のままとなり,帰国後も含めて音声通話やデータ通信ができなくなる。

 今回の不具合が初めて確認されたのは,SIMPUREシリーズの発売から一カ月後の2006年5月のこと。その後現在に至るまでに,115件の不具合が報告された。これまでに販売した端末の数量は「SIMPURE N」が8万5千台,「SIMPURE L」が4万4千台。NTTドコモは,すでに同端末を購入したユーザーに対し,2006年7月中旬からファームウエア更新を開始する予定である。

認証信号がネットワーク上で別の信号に変換

 今回の不具合が発生するのは,端末を海外に持ち込み,海外事業者のネットワークに接続するときである。端末からの信号を受信した海外事業者のネットワークは,端末のSIMカードが正規のものか認証するために,日本のNTTドコモのネットーワークに照会する。照会を受けたNTTドコモは,SIMカードの認証信号を発信する。

 NTTドコモによれば,この認証信号が一部の海外事業者のネットワークを経由して端末に至るまでの間に「想定されない信号に変換されることがあった」(NTTドコモ)という。一般に,携帯電話機は不正信号を受け取ると,セキュリティ上の問題からSIMカードをロックすることがある。SIMPURE端末はこの信号を不正信号と判断し,SIMカードをロックした。

 NTTドコモによれば,他の端末ではSIMカードをロックする際の基準が異なることから,今回のような事象は発生しないという。認証信号がどの段階で「想定されない信号」に変換されたかを含め,詳しい原因は現在調査中である。今回,どの海外事業者で不具合が発生したかについて,NTTドコモは「どちらのネットワークに原因があるか特定されていない」(広報部)ことから公開していない。