新日本製鉄は,太陽電池用の多結晶Siの製造と販売に乗り出す。事業会社として,2006年6月30日に「NSソーラーマテリアル」を設立した。NSソーラーマテリアルは,福岡県北九州市にある新日本製鉄の八幡製鉄所内にプラントを建設し,2007年度下期から月産約40トンで生産を開始する。生産した多結晶Siは,日本の太陽電池メーカーへの供給を想定している。

 多結晶Siの製造には製鉄技術を応用した独自手法を用いており,既存の製造方法とは異なるという。既存の方法に比べて,設備コストを半分にできる利点があるとする。多結晶Siの製造技術は以前から開発を続けてきたが,ここ最近の太陽電池需要の高まりを受け,製造会社の設立を決めた。

 世界の多結晶Siの生産量は年間約3万トンで,そのうち2万トンがLSI向け,1万トンが太陽電池向けという。新日本製鉄は,技術検証を兼ねてまずは年間500トン程度の小規模プラントを建設し,今後は需要を見ながらさらに大きなプラントの建設を検討する。

 NSソーラーマテリアルの従業員数は50人程度で,新日本製鉄の新素材事業部部長の柳沢充夫氏が代表取締役社長に就任する。資本金は3億円。所在地は福岡県北九州市戸畑区である。